おそらくどの国の首都にも国立博物館が置かれていることでしょう。その点ではプラハも例外ではありません。ネオ・ルネサンス様式の重厚な印象を与える博物館の建物は、ヴァーツラフ広場を上りきったところに建っています。国立博物館はチェコ共和国における最大の博物館施設で、さまざまな人間の活動分野における膨大なコレクションを所蔵しています。現在博物館の本館は全面的な改修工事に入っていますが、それ以外の別館にある展示は問題なく見学することができます。人気の高いものとしては、アジア、アフリカ、アメリカに関する展示が行われているナープルステク博物館や、世界的に有名な作曲家を記念するベドジフ・スメタナ博物館とアントニーン・ドヴォジャーク博物館が挙げられます。また、国立技術博物館の館内では、この国で初めて生産された自動車、軍用機の模型、もしくはティコ・ブラーエの残した天文器具など、チェコの国土で誕生した産業技術史に残る記念物を見学することができます。
輝けるペンギンと主張のある展示
現代芸術に興味がおありでしたらカンパ美術館に足を向けてください。このユニークな美術館はソヴァ氏の水車小屋の建物の中に入っており、世界的に有名な画家フランチシェク・クプカの作品が最も多く収蔵されていることで知られています。美術館の周囲を見て回るのもお忘れなく。オリジナルの石像だけではなく、ヴルタヴァ(モルダウ)川の河岸に立ち並ぶ輝けるペンギンたちにも驚かされることでしょう。現代芸術に関しては、ホレショヴィツェ地区にある現代アートセンターDOX(ドックス)でも作品を目にすることができます。ここでは定期的に賛否両論を呼ぶ展示が行われており多くの入場者を集めています。
プラハ城の中世の秘宝
何百年もの歴史を持つ古いもののほうがいいという方は、プラハ城王宮美術館に足を運んでください。史上最大の芸術愛好家の一人に数えられている皇帝ルドルフ二世のコレクションが所蔵されているのです。ルーベンスやティツィアーノのような巨匠の作品も残されています。プラハ城内ではロプコヴィツ宮殿にもヨーロッパ最大のコレクションが所蔵されており、モーツァルトやベートーヴェンの書き込みが加えられた自筆の楽譜を見ることができます。また、優雅なるトローヤ城内に置かれているプラハ市立美術館の展示では、19世紀チェコの風景画家たちの作品を鑑賞することができます。
K氏の博物館と中世の至宝
もちろん、最も有名なプラハ出身の人物についての博物館がないわけはありません。フランツ・カフカ博物館では、この世界的に有名な作家の秘められた世界に身をおいて、その作品と人生についての理解を深めることができます。新市街には、これも有名なチェコ人で二十世紀の初頭にアール・ヌーヴォーの作品で世界中を魅了したアルフォンス・ムハの名を冠する美術館があります。チェコ共和国の芸術に関する最大のコレクションは、プラハ国立美術館に収蔵されていますが、その展示はいくつかの建物に分かれています。中世美術の展示は聖アネシュカ修道院に設置されています。古代ギリシャからバロック時代にかけてのヨーロッパ美術の展示はシュテルンベルク宮殿に置かれており、現代美術の展示はヴェレトゥルジュニー宮殿で見ることができるようになっています。