プラハの喫茶店の黄金期は19世紀末から20世紀初頭にかけての時代です。当時はエレガントな喫茶店で時間を過ごすのは、それこそ社会的な義務であったのです。美味なるコーヒーとタバコの紫煙の雲を前に、当時は文壇の大家、新聞記者、建築家などの芸術家や知識人たちが政治や芸術について熱心に議論を交わしたり、あるいはただひたすら想像の女神ミューズの降臨を待ち受けていたりしたものです。当時のプラハのカフェ文化は堂々とウィーンやパリのそれに肩を並べるものでした。そして往時の魅力は現在に息づいているのです。いちどプラハに何百もある喫茶店を探訪なさってみてください。小さな家族経営の喫茶店に迷い込むにせよ、気品あふれるアール・ヌーヴォーの装飾豊かな喫茶店に入るにせよ、デザイナーズカフェに入るにせよ、本当に美味しいコーヒーと、もちろんお好みに応じてデザートを味わいながら、新たなインスピレーションを汲み取ってください。
アインシュタインお気に入りの喫茶店
プラハで国民劇場の向かいにあるスラヴィアほど名高い喫茶店を見つけるのは難しいことでしょう。フラッチャニ地区とカレル橋への見晴らしも素晴らしい、プラハでも最も古いこの喫茶店は、伝統的にフランツ・カフカやライナー・マリア・リルケ、アントニーン・ドヴォジャークのような偉人たちのたまり場でした。第一共和国時代の輝かしいイメージを味わいたいという方は、気品あふれる喫茶店ルーヴルに向かってください。この店の常連客だったアルベルト・アインシュタインと同じように、極上のデザートを味わいながらコーヒーを飲んだり、アール・ヌーヴォーーのビリヤード室をご利用になれます。気品というものを完璧に形にしたのがプラハ市民会館に入っている喫茶店です。大きな窓と高い天井、クリスタル・ガラスのシャンデリアに囲まれた魂を奪われるような空間でくつろぎながら、世界中から集められたコーヒーを五感すべてで味わってください。
世界でたった一つ
世界の他の場所では味わえないカフェを体験することができるのが、黒い聖母の家に入っている世界で唯一のキュビズムの喫茶店グランカフェ・オリエントです。いちどここで自家製アプフェルシュトゥルーデルをキャラメルアイスクリームと一緒に口にしてしまったら、もう帰りたくなくなってしまうことでしょう。ロマンティックなカンパ島をご散策の折には、ネオ・ルネサンス様式の内装もまぶしい喫茶店カフェ・サヴォイでコーヒーをお飲みください。東洋の神秘は、装飾の美しいカフェ・インペリアルで味わってみてください。
時代の最先端を行く喫茶店でリフレッシュする
プラハの街は歴史遺産がすべてではありません。活力あふれる現代的な大都市でもあり、時代の最先端を行くようなデザインを誇りコーヒーの風味にこだわる喫茶店もあります。喫茶店アル・カフェテロでは焙煎したての有機栽培のコーヒーをバキュームコーヒーポットに入れて出してくれます。現代デザインがお好きな方は、コーヒーの味も評判のブッダバーをお忘れなく。喫茶店チェーンのママ・コーヒーでは、自家焙煎のフェア・トレードの認証を受けたコーヒーを出してくれます。手作りの、これも原料はもちろんフェア・トレード認証のチョコレートもコーヒーと一緒にお召し上がりください。