マティアーシュ・ベルナルド・ブラウン:カレル橋やカサノヴァも通った教会にある像
マティアーシュ・ベルナルド・ブラウンの素晴らしい作品群は、
バロックの世界へとあなたを誘います。バロックの時代に、芸術は生命と精神性を得ました。
ブラウンの彫刻作品はその
正確さと細かさで有名です。イタリアバロック芸術に影響を受けており、彼の彫刻や祭壇はチェコやオーストリアの多くの教会や修道院を飾っています。
特に注目すべき作品には、プラハ旧市街広場のランドマークの一つや聖ミクラーシュ教会、有名なカレル橋の欄干を飾る像、あるいはプラハのクリメンティヌムの中にある聖クリメント教会の内装などがあります。プラハ以外では、ヴェルトルゥシ(Veltrusy)宮殿、ククス病院(hospital Kuks)あるいはプラスィ(Plasy)の修道院でみることができます。更に、カサノヴァが滞在していたことでも有名な、ドゥフツォフ(Duchcov)宮殿の装飾も手がけました。
ダヴィド・チェルニー:新時代の扇動的巨匠
ダヴィド・チェルニーは、チェコの芸術シーンにおいて夜に輝く星のような存在です。彼の特殊な芸術は人々を煽り、インスピレーションを与え、情熱的論争を呼び起こします。この常に議論を引き起こす芸術家の作品の多くは、
プラハで目にすることができます。最も有名なのは、ナードロドニー・トシーダ近くにある、プラハ生まれの作家
フランツ・カフカの部分的に回転する機械仕掛けの頭でしょう。その先の角を曲がれば、新しく改装された
デパート、マーイの壁に舞い降りた戦闘機Spitfire様の
2匹の蝶に出会います。夜には光る仕掛けまであるのです。彼の最新の作品はカンパ島からすぐの場所にあります。これはまたしても機械仕掛けで動く像で、
オリンピック金メダリストであったヴィエラ・チャースラフスカーへの敬意をこめた作品です。これだけではありません。プラハでは他に、作品
メタルモルフォシス、
カンパを這い
ジシュコフのテレビ塔に這い上る
赤ん坊の像もあります。あるいはチェルニーの
ムソレウム・ギャラリーに行行く手もあります。また最近、この才能ある彫刻家は
北ボヘミアの
リベレツにジョークをまじえた作品を作りました。
巨人の饗宴と題された作品を見逃さないでくださいね!
ヤロスラフ・ローナ:架空のキリン、ブロンズのカフカ像
ヤロスラフ・ローナの素晴らしい世界に浸りましょう。そこでは芸術が人の精神を映す鏡として機能しています。特に
プラハの路上に設置された
ローナの作品を見て回れば、
人生と社会の様々な様相を捉えていることに気づきます。プラハのユダヤ人街にある
フランツ・カフカの記念碑やパンクラーツ(Pankrác)の
架空のキリンなども見逃さないようにしてください。
チェコの首都以外の場所では、ブルノでローナの作品を見ることができます。モラヴィア広場(Moravské náměstí)のモニュメントの1つが、ヨシュト侯爵の像です。ローナの作品は情熱と刺激に満ちており、彼の世界観は芸術にする独特かつ表現豊かなアプローチに繋がっています。
オルブラム・ゾウベク:20世紀の巨匠
20世紀のチェコ彫刻芸術を代表する作品に触れたいなら、オルブラム・ゾウベクを見逃してはいけません。ゾウベクの作品は様々なプライベートコレクションに収められているだけでなく、
プラハ、
リトミシュル(Litomyšl)ほか、国内の様々な場所に及びます。彼は1968年、プラハの春運動が劇的な瞬間を迎えた際にソビエトによるチェコ侵攻に対抗し焼身自殺した学生、
ヤン・パラフのデスマスクをとった作家です。
共産主義に対するチェコ人の戦いのシンボルとなったそのマスクは、
ムニェルニーク(Mělník)そば、フシェタティ(Všetady)という町にある国立博物館の展示物になっています。
ヨセフ・ヴァーツラフ・ミスルベク:しっぽの下で待ち合わせ
チェコ彫刻芸術のクラシックは、チェコ芸術界自体の偉大な人物であり、彼の作品はチェコ文化そのものと切っても切れない関係にあります。例えばその作品には、プラハ
国民劇場のために制作した
チェコの古い伝説上の人物像があります。「ヴァーツラフのところ」、「馬のところ」、あるいは「しっぽの下」で待ち合わせ?プラハに滞在する観光客が
目印にするのは、
馬に乗った聖ヴァーツラフ像で、チェコの首都の中心部、
ヴァーツラフ広場を威厳たっぷりに見下ろしています。
フランティシェク・ビーレク:プラハ城に掲げられた芸術家
19世紀と20世紀の境目を代表する作家は、
象徴主義や精神主義的芸術に基づく独特な作品を芸術愛好家たちに提示しています。ビーレクの密教的で独自性ある作品は精神学的・哲学的世界の奥深くを探り、作家自身の探求と信仰を表現するものです。現在、作家のミュージアムギャラリーとして使われているプラハの
ビーレク邸(Bílkova vila)を訪れたり、
聖ビート教会にある磔刑像などの形で彼の作品を目にすることができます。
クルト・ゲバウエル:ハヴェルに捧げるハートとチェコ王たちの居処にあるピラミッド状の小人
このマルチタレントな芸術家は、様々な要素やスタイルで作品を生むことで有名ですが、周囲を楽しくすることでも有名。素材・技術への挑戦があり、ゲバウエルの作品一つ一つが芸術表現の新しい限界を目指すものとなっています。
プラハ城内にある
マスクや
ピラミッド状の小人、プラハ国民劇場前にある
ヴァーツラフ・ハヴェルのためのハート、あるいは作家の出身地、
フラデツ・ナド・モラヴィツィー(Hradec nad Moravicí)の御伽噺に出て来そうな城の庭にある、
空を飛ぶ夢といった作品を鑑賞してみてください。
東ボヘミアのホジツ(Hořic) にある巨大な小人像も奇妙な作品です。なんと11メートルの高さを持つ世界最大の
小人!重さももちろんトップクラスで、200トンもあるそうです。
ラディスラフ・シャラモウン:象徴主義の世界へ
ラディスラフ・シャラモウンの作品は、19・20世紀の境目頃の芸術への窓となっています。彼は美しい
オロモウツに生まれましたが、作品はプラハで息づいています。シャラモウンの作品は
セセッションと
象徴主義の影響を大きく受けており、
ヴィシェフラドの墓地にある象徴的作品、
スラヴィーン(Slavín)を生むに至りました。
チェコの歴史・文化上の重要人物の像がならぶ芸術的な天国を歩いてみてください。
クリシュトフ・キンテラ:マルチファンクションな芸術家のビジョン
クリシュトフ・キンテラは境界を知らない芸術家。彼の作品は人の存在意義、アイデンティティ、社会といった問題へ私達を誘います。
これまで使用されてこなかった素材や手法を用いる作風は、彼の作品に力と表情を与えています。ダヴィド・チェルニーと共に、問題提起的作品エントロパ(Entropa)を生んだ人物でもあります。キンテラはプラハ出身ですが、特に象徴的な彼の作品があるのは
ブルノ。モラヴィアギャラリーのアトリウムを飾るのは、ふんだんに飾り立てられた
「成長の悪魔 (Démon růstu)」という作品です。
マグダレナ・イエテロヴァー:可能性の限界を求める芸術
常識の枠を超え、造形美術に新しい幅を持たせることになった、チェコ-ドイツ彫刻芸術における象徴的作品に触れましょう。彼女の作品は人と自然、テクノロジー、空間認識の関係に独特な視点を与えるものです。芸術家は
現在の環境に関するテーマ、私達を取り巻く世界と人間の相互作用に関する問題を積極的に扱っています。
Magdalena Jetelova: Vltava Chair, artatsite.com おまけ:世界的に有名な建築家、ヤン・カプリツキーの思い出
ヤン・カプリツキーは2007年、新しい
チェコ国民図書館建設の入札に勝利し、それを実現させるはずでした。彼独特の有機的デザインで入札に勝ったのです。しかし最終的にこの建設は実現せず、チェコ出身のイギリス建築家はその直後死去しました。彼への敬意をこめて2011年、
ブルノにカプリツキー案の国民図書館の縮小版コピーとなる
バス停が作られました。バス待ち時間が特別なものになること請け合いです!
スカルプチャー・ライン:青空の元で、現代彫刻家の作品を鑑賞しよう
スカルプチャー・ラインはアートプロジェクトの1つで、
公共の場所に彫刻を展示することで、場所の持つ文化的・芸術的潜在能力を引き上げようというものです。チェコの数々の町が、国内外のトップ芸術家によって飾られる彫刻展示や芸術で賑わいます。このような彫刻をどこで見ることができるでしょう?例えば
プラハ、
プルゼニュ、
ブロウモフ(Broumov)、
マリアーンスケー・ラーズニェ、
オロモウツ、
ズリーン他の町です。貴重かつ大変目をひく作品は、ヤン・カプリツキーによる
Acque。20年にわたり誰に気づかれることもなくひっそりとイタリアのコモ湖そばにあった作品は、公共の場でのボトル入り飲料水消費の未来像を具現化しています。