冬のクルシュネー山地 お勧め体験
広大な山間の原野ハイキング、あるいはサイクリングは、技術的名所、古城見学と組み合わせることも可能です。太古の昔から険しく、霧の中でも常に鋭い景観を保っているこの静かなる山並は、人々にとって常に壮大で厳格な存在となっています。

 クルシュネー山地は、独特の無骨な魅力を持つ場所。木々に覆われたその長い尾根からは、木、あるいは石で覆われた斜面、美しい山間の草地、平原、そして湿原が続いています。ここでは歩くたびに目を見張る風景が広がり、その隠れた宝石、秘密を常に少しずつ明かすことができるのです。

滑降スキーヤー天国

 滑降スキーヤーにとって、クルシュネー山地はちょっとばかり隠れた天国とも言える場所。まず降雪条件が安定している上に、スキー場の設備も年々改良されており、特に滑降コースは早いテンポで開発が進められています。ここではそのメインのスキー場2ヵ所、クリーノヴェッツプレシヴェッツをご紹介しましょう。

 クリーノヴェッツは、海抜1,244メートルの、クルシュネー山地最高峰です。12 kmの滑降コースには、チェコでも最新式の4人がけロープウェイが走っており、更に隣接するフィヒテルベルクのスキー場と簡単に往復することができます。

 木々に覆われた雪と氷の創造物を持ち、そして遠くボヘミアの地を望むクルシュネー山地は、神秘的な魅力に満ちています。この独特な雰囲気の中、スノーチュービング、ハーフパイプ付きスノーパーク、スキー教室、お子様向けミニスキー場、あるいはプール、アーチェリーも楽しむことができます。プレシヴェッツ・スキー場は、チェコで最も新しいもの。ロープウェイ、ムービングウォーク、10 kmの滑降コース、スキーサービス、スキー教室などなど、どの設備も全て最新式、最高の快適性を誇っています。

 当然ながら、上記どちらのスキー場も人工降雪システムが完備されています。クルシュネー山地ではこのほかにも、例えば少し北東に行ったところにあるクリーニ(人工降雪滑降コース4ヵ所、4人がけリフト、ナイト・スキー場、スノーパーク)、あるいはテルニツェ(2人がけリフト6ヵ所、5 kmの滑降コース、スノーパーク)のスキー場も利用可能となっています。また山地の反対側、マリアーンスケー・ラーズニェ近郊には、キャビン型ロープウェイ、1,600 mの滑降コース付きのマリアーンキ・スキー場があります。

雪の中でワイルドな回転

 滑降スキー、スノーボーディングももちろんアドレナリン・スポーツには違いないですが、スノーカイティングに比べたら、ほんの序の口!

 スノーカイティングは、例えば上述のプレシヴェッツからそれほど離れていない、アベルタミ市にあるカイト・センターでお楽しみいただけます。カイト・センターは、海抜900 m、11月から3月末まで適度な積雪が保証されています。完璧に整備されたフリースタイル・スノーカイト・パークのほか、ここにはランドカイティング、フリーライド・スノーカイティングに最適の広大なスペース、そしてもちろん公式カイト・スクール、レンタルショップもあります。一人で滑るもよし、一流ライダーを指導官とする各種キャンプに参加してもOK、また足を延ばして、クルシュネー山地の大雪原踏破に挑戦することも可能です。経験豊富なガイドのリードのもと、カイトに引かれて山を行けば、最もユニークな冬の体験、山との完全な融合体験ができること間違いなしです。

広大な原野をただひたすら走る

 クロスカントリー・スキーが雪の表面を切る音ほど美しい音色がほかにあるでしょうか。

 繊細な雪の美で圧倒する自然、この自然の中で頼れるものは、自分の足と腕の力のみ…そんなクロスカントリー・スキーを真に楽しみたい方にお勧めできるのが、クルシュネー山地です。木々で覆われた尾根の壮大な自然の中を縦横に走る、完璧に形成、整備されたコースは、全てクルシュネー山地幹線道に直結しており、上述の滑降スキー場のいずれかに近接しています。国境が地図上の線に過ぎなくなった現在、何百 kmものクロスカントリー・コースが隣国ドイツと連結されました。クリーノヴェッツ周辺では30 kmのコースを利用でき、また隣接するボジー・ダルでは、120 kmのコースで、トレーニング中のチェコを代表するクロスカントリー・スキーヤー、ルカーシュ・バウエルに出会えるかもしれません。バウエルがトレーニングに使っている事実は、このコースが真に質の高いものであることを証明しています。ここから尾根に沿って、クリーニ、レスナー、ドロウハー・ロウカ周辺から、ボウジュニャーク、フォイトヴィツェ、テルニツェを抜ける250 kmの行程を走り抜けると、更に数百 km続くドイツ側のコースに出ます。クルシュネー山地のクロスカントリー・コースの中でも際立って独特な雰囲気を持つものとしては、卓状山、ジェチーンスキー・スニェジュニークの森と野原を抜けるコースが挙げられます。その頂上に雲海の灯台のごとく聳え立つ石造りの展望台からの眺めは、まさにこの世のものとは思えない美しさです。クルシュネー山地はまた、整備された専用コースではなく、自由に一人でスキーを履いて走りたいというフリースタイル・スキーヤー向けにも、理想的な場所と言えます。

スキーに飽きたら温泉へ

 クルシュネー山地の楽しみは、スキーだけではありません。この地は大昔から貴金属の鉱床のみならず、山麓に鉱泉が存在することでも知られていました。

 ここでは様々なスポーツと、山麓の温泉町、温泉村でのリラクゼーションとを組み合わせることが可能です。スポーツを楽しんだ後は、経験豊富なマッサージ師の恩恵を受け、温泉療法プログラム、そして快適な入浴で、斜面あるいは平地で脳のメッセージに忠実に動いてくれた自分の身体に褒美を与えてあげましょう。世界的に有名な温泉地ヤーヒモフには、クリーノヴェッツ、プレシヴェッツ、あるいはアベルタミから簡単にアクセスすることができます。ヤーヒモフ温泉は、100年以上に渡ってラドンを含む源泉を利用しており、ラドン温泉としては世界最古のものとされています。ここではラドンを含む水のエネルギーが、手足の療養に抜群の効果を発揮しており、スキー後のリラクゼーションにまさに理想的な場所となっています。当地のウェルネス・プログラムでは、ラドン・バス、酸素セラピー、ハロ・セラピー、アクア・フィットネス、数十種類ものマッサージが提供されており、更にアクアセンター・アグリコラで水泳、ウォータースポーツを楽しむこともできます。こうして一晩身体をを休ませてあげれば、翌日はスキーで世界選手権にも挑戦できるほど、完璧なコンディションが整えられます。一方クルシュネー山地のツィーノヴェッツから下る方には、テプリツェがお勧め。当地の温泉の治癒効果は、既に2000年近く前に発見されたとされています。ここでは効果が神経、血管を通って四肢に浸透、やはりスキーで疲労した身体には理想的なケアが保証されます。ここでも源泉にはラドンが含まれている上、その豊富な鉱物、そして高い自然の水温が癒し度を更に高めています。ここにはスパ・センターが4ヵ所ありますが、そのどこでも通常の温泉治療プログラム、マッサージ、入浴、そして水泳を楽しむことができます

クルシュネー山地の文化体験

 クルシュネー山地では現在、隣国ドイツと共同で、鉱山史上重要な場所を数多く含む「モンタンレジオン」と呼ばれる地域のユネスコ世界遺産登録申請プロジェクトが進められています。

 鉱山史跡の中には、冬も見学可能なものもありますが、たとえばテプリツェ近郊のクルプカでは、聖マルチン坑道もその一つ。坑道見学後はヤーヒモフに移動しましょう。同市内の博物館では、王立造幣所の展示が見られますが、ここでは貨幣鋳造の歴史のほか、かつて当地で行われていた銀鉱採掘に関して、動く人形などを用いた展示で、具体的な作業内容も知ることができるようになっています。

 一方ボジー・ダルの博物館では、鉱山に関する展示はもちろん、民族誌学、鉱物学的資料も見ることができます。またクルシュネー山地の民芸に関心のある方には、ノヴァー・ヴェス・ヴ・ホラーフのおもちゃ、木工品常設展示がお勧め。近所のショップでは、独特なクルシュネー山地型くるみ割りなど、ユニークな土産物を買い求めることができます。更に年中オープンのネオゴシック式、クラーシュテレッツ・ナド・オフジー城では、プラハ工芸博物館のコレクションから、貴重な陶磁器の展示会を見学することが可能となっています。