他のチェコの山地とは違って、イェセニーキ山地の間には温泉町が散在しています。ここでは、周囲の美しい自然と、源泉と清浄な空気の治癒効果とが見事に組み合わされているのです。イェセニーキ山地の温泉治療法は、特に「水の医者」とまで呼ばれたヴィンツェンツ・プリズニッツによって有名になりました。プリズニッツはイェセニークの町からあまり離れていないところにオーストリア=ハンガリー二重帝国内で最初の水治療法の療養所を建てました。今日でもこの場所では、呼吸器系、循環系、および神経系に問題がある場合に治療を受けることができます。
大きく息を吸って
中央ヨーロッパで最も空気がきれいな場所はどこだと思いますか。それは有名なカルロヴァ・ストゥダーンカの高地性の清浄な空気に包まれた温泉です。ここでの滞在は、例えばビーラー・オパヴァ川の美しい渓谷や滝、もしくはこの地方で一番高い山プラディェット山への散歩でいっそう充実したものにすることができます。プラディェットの山頂からの眺望は素晴らしくイェセニーキ山地全体がパノラマのように見渡せます。ハイキングにお勧めの場所としては、チェルヴェノホルスケー・セドロもあります。古くから歴史的なボヘミア領とモラヴィア領の境界に当たっているのです。
魔女のサイクリングロード
ハイキングがお好きなら、イェセニーキ山地でお好みのコースが見つかることでしょう。最も人気のある標識が設置されたハイキングコースとしては、ラムゾヴァーの村からシェラーク山を越えてブラナーの村に向かうコースや、イェセニーク市からチェルトヴィ・カメニ(「鬼の岩」の意)を通ってズラティー・フルムの山頂で展望台に上るコースなどが挙げられます。イェセニーキ山地中には、標識が設置されたサイクリングロードも整備されています。シュンペルク、ズラテー・ホリ、ヴェルケー・ロスィニという17世紀の魔女狩りで60人ほどの罪無き犠牲者を出して悪名を馳せてしまった町を通る魔女のサイクリングロードを走ってみるのはどうでしょうか。コース脇のところどころに設置された記念碑や、記念のレリーフを通して犠牲者たちそれぞれの物語を知ることができるのです。
山の間に隠れたチェコの七不思議
イェセニーキ山地を見て回るのに、自転車で走り回ったり自分の足で歩き回ったりするのがすべてというわけではありません。地下にも神秘的な景色が隠されているのです。大きな鍾乳石、石柱、石筍などの石灰岩が侵食を受けた結果生まれた生成物がたくさんあるナ・ポメジーの鍾乳洞を訪ねてみてください。チェコ共和国の七不思議の一つに選ばれたドロウヘー・ストラーニェ揚水発電所も見逃せません。また歴史遺産のほうがお好きな方は、ヤーンスキー・ヴルフや、フラデツ・ナト・モラヴィツィーの城館で、はるかなる過去に思いを馳せてみてください。