ディスティラリー「ルドルフ・イェリーネク」
チェコはビールの国として有名ですが、それだけではありません。国の東端、東モラヴィアは、スリヴォヴィツェ(プラム酒)やその他の果実蒸留酒造りで、何百年もの伝統を持つ地域です。数ある蒸留所の中でも最も有名なものが、ヴィゾヴィツェのルドルフ・イェリーネク蒸留所。会社自体が創設されたのは1894年ですが、その歴史は16世紀までさかのぼります。現在ルドルフ・イェリーネクは国内最大の果実蒸留酒メーカーの一つとなっており、その製品もオーソドックスなスリヴォヴィツェのほか、例えばコシェル・スリヴォヴィツェ、ラズベリー酒、トゥルー・サービス・ツリー(ナナカマドに似た木)やセイヨウナナカマドの実から造る蒸留酒など多岐に渡っています。  

見学コースで蒸留酒の味と香り体験 

東モラヴィアのヴィゾヴィツェでは、ルドルフ・イェリーネクがディスティラリー・ランド見学ツアーを用意して、皆様のお越しをお待ちしています。ここではヴァラフ(この地方の呼び名)風スリヴォヴィツェ製造の伝統、そして蒸留所の歴史と現在をご紹介しています。

見学コースでは、この世界的に有名な果実酒の製造に、実際に使用される蒸留設備をご覧いただきながら、蒸留酒製造の原則をご紹介いたします。ここでは果実の蒸留酒が熟成される場所、あるいは数少ないチェコ製ウィスキーの一つ「ゴールド・コック」の製造場所もご見学いただけます。意外かもしれませんが、このウィスキーは、美味な、質の高いものに属すると評価されています。ご見学の際には、試飲もオファーされますが、対象はもちろん18歳以上の方のみに限られています。ディスティラリー・ランドには、ルドルフ・イェリーネクの専門店もあり、その場で同社の製品を買い求めることができます。

蒸留所の歴史と現在 

モラヴィアの伝統的アルコール飲料と言えば、ワイン、そして果実蒸留酒です。中世から今日に至るまで、ここでは手作りの蒸留酒の伝統が継承されています。現在も農村では誰もが自宅で果実を発酵させていますが、蒸留は専用の蒸留所で専門家の指導のもとでなされなければなりません。ルドルフ・イェリーネクは19世紀末に蒸留所を設立、1930年代にはその製品を世界中に輸出するまでに成長しました。その代表的な製品が地元のプラムを使用したコシェル・スリヴォヴィツェで、現在も生産が続けられ、アメリカに輸出されています。今日、ルドルフ・イェリーネクは国内外数百ヘクタールもの土地を所有していますが、国内ではプラム、アプリコット、あるいはサクランボを栽培、外国、例えばチリでは、ウィリアムス種の洋梨を栽培しています。