ボヘミア=モラヴィア高原の森の深みに8世紀の長きにわたってたたずんでいるのが、モラヴィア地方で最も美しい城の一つとされるペルンシュテイン城です。ペルンシュテイン家のこの壮麗な居城にまつわる物語に耳を傾けながら城内の部屋をめぐってみてください。メルヘンティックな城の塔に上ると城の住人の白妙の乙女に出会うこともあるかもしれません。ペルンシュテイン城はチェコ有数の文化財であるだけでなく、その美しいたたずまいから世界中の映画人にとって格好の撮影場所にもなっています。

ゴシック様式の城の誕生に大きな役割を果たしたのはペルンシュテイン家ですが、この一族の起源については多くは知られていません。確かなことはボヘミア有数の富裕な一族だったということだけです。ロジュンベルク家より大きな領地を所有していた時期もありました。一族にとって致命的だったのは、歴代皇帝に貸していたお金が焦げ付いたことで、そのためペルンシュテイン家は衰退し徐々に資産も売却しなければなりませんでした。

ボヘミアの難攻不落の城

いちどペルンシュテイン城の壮大なシルエットをご覧になれば、この城が築城以来一度も落城したことがないとお聞きになっても驚きはないかもしれません。防衛のしくみが巧緻を極めており現代でも賞賛されています。城が戦略的に有利な高い断崖の上に建てられていることだけでなく、堀や跳ね橋、それに高い城砦と塔が設けられていることも大きな利点になりました。もしそれでも防衛が破られれば、領主たちは5階建てのバルボルカ塔に籠城することになっていました。バルボルカ塔は周囲の建物とは2本の木造の橋だけでつながっていました。敵が侵入に成功したとしても狭い通路は鎧を着た騎士にとって通行はほぼ不可能なのです。

怖がりの人はペルンシュテイン城には入らないように

他の多くのチェコの城と同様にペルンシュテイン城にも城内に住人がいます。「白妙の乙女」と呼ばれる城に仕えていた使用人です。当時、彼女は仕事をなおざりにしていつも鏡の前で自分の身だしなみを整えて美しく着飾ってばかりいました。ミサにも出なくなった頃、これを見かねた老僧は彼女を見つけて説得しようと決心しました。ところが彼女は老僧をあざ笑っただけで、彼の話に聞く耳を持ちませんでした。怒り心頭に発した老僧は彼女に永遠の呪いをかけました。今日でも娘の姿の幽霊が城内の回廊をさまよっていると伝えられています。城を見物する女性は鏡に注意しなければなりません。城内の鏡で自分の姿を見た女性は一年以内にその美しさを失うことになるといわれているのです。

周辺の観光地

この地をご旅行の際には近郊の歴史遺産もぜひご訪問ください。ジュヂャール・ナト・サーザヴォウを訪問なされば、個性的な建築作品のゼレナー・ホラの聖ヤン・ネポムツキー巡礼教会をご覧になれます。このユネスコの世界遺産にも登録されている神秘と伝説に満ちた独特な文化財は、訪問者の想像力をおおいに刺激する場所でもあります。