チェコのベトレーム/Betlém(キリスト降誕場面を表した模型)は何百年もの歴史を持ちます。その多くがアドベント開始前に展示され、人々がクリスマスモードになる時期を告げてくれます。ここではベトレーム見学に最適な場所として、屋外博物館、博物館、その他チェコ各地の注目のスポットをご紹介しましょう。どうぞクリスマスの雰囲気にどっぷりと浸ってみてください。
ベトレームを見にプラハ城へ
もともとベトレームはイエス・キリスト降誕場面の再現として、教会でのみ見られるものでした。その後時が経つとともにベトレームは風習と化し、人々の家へと浸透していったのです。プラハでベトレーム見学に適した場所としては、例えばヴィシェフラドの聖ペトルとパヴェルのバシリカがあります。ここでは12月2日に19世紀の美しいベトレームをご見学いただけます。小地区にある聖母マリア勝利教会(プラハの幼子イエス教会と俗に言われます)の博物館では、南アメリカ、カナダ、フィリピンなど世界中のキリスト降誕場面を集めた常設展が行われています。またこの時期は、前述の聖なる御子が、クリスマスの白い衣装をまとった姿も見ることができます。その他、クリスマスにベトレームが飾られる伝統的な場所としては、珍しいジンジャークッキーで作られたベトレームが見ることができるデイヴィツェ地区の聖マチェイ教会、プラハ城の聖ヴィート大聖堂 や旧市街広場のティーン教会 、あるいはフラッチャニの ロレタ でも目にすることができます。100年に1度だけ
アッシジのフランチェスコが初めてキリスト降誕場面を模した飾りを作ってから800年となる今年、プラハのクレメンティヌム・ギャラリーではベトレーム記念展が行われます。なぜクレメンティヌムでひらかれるのでしょうか?なぜなら1562年、ここにチェコ国内初のベトレームが置かれたからなのです!貴重な展示には、国内でも特に素晴らしい現代のベトレームが選ばれています。しかもこの展覧会のために、機械仕掛け(電力)で動く記念ベトレームも作られました。大変有名な馬小屋でのイエス誕生の場面は、どこかで見たような風景かもしれませんね。そう、ベトレームの背景がプラハのカンパ島を模しているのです。展示は2023年11月25日から2024年1月7日まで、つまり12月の24日、25日以外の日でもこの期間は毎日訪れることができます。
いざベトレーム博物館へ!
チェコにはベトレーム博物館がいくつかあり、どれも年中オープンしています。その中の1つ、中央ボヘミアのカルルシュテイン・ベトレーム博物館には、チェコの古い木彫りのベトレーム・コレクション、あるいは砂糖やパンから作られたベトレームが展示されていますが、一番の見所は何と言ってもカルルシュテイン・ロイヤル・ベトレーム。これは歴代チェコ王の中でも特に有名あるいは重要な人物10人の像から成る、国内最大の人形ベトレームです。東ボヘミアの町、トシェベホヴィツェ・ポド・オレベム(Třebechovice pod Orebem)のベトレーム博物館には、チェコ国内様々な場所で、様々な材料から作られた、新旧合わせて400以上のベトレームが展示されています。中でもトシェベホヴィツェのプロボシュタ・ベトレームは、国内のベトレームの中で唯一文化財に指定されている非常に貴重なものです。およそ100年前に作られたこのベトレームは、何千もの彫刻物、そして約350の人形から成っていますが、うち51体はそれ自体が機械仕掛けで動き、また回転盤に乗って動くものもあります。長さ7 mのこのベトレームは、子供たちはもちろんのこと、大人も、特にメカ好きの方は必見です。
ヴィソチナは、ベトレーム作りではチェコ国内で最も有名な地方ですが、ここではトシェシュチ(Třešť)のベトレーム常設展示をご見学いただけます。またギネスブックにも掲載されている世界最大の機械仕掛けの民俗ベトレームは、南ボヘミアのインドジフーフ・フラデツで見ることができます。
屋外博物館のベトレーム
中央ボヘミア・プシェロフ・ナド・ラベム(Přerov nad Labem)のスカンゼン(屋外博物館)では、11月末に、敷地内に点在する小屋の中で、昔の生活が再現されます。史跡保護の対象となっているこれらの建物の中で、昔ながらのアドベント、クリスマスの風習が紹介されるのです。「ポラビー(ラべ川流域の低地)のフォークロア・クリスマス」と題したクリスマス展覧会では、昔の民俗あるいは教会のベトレームのほか、現代のベトレーム・コレクションも展示されていますが、これは様々な材料から作られており、その数は年々増大しています。また東ボヘミアの町・フリンスコでは、「クリスマスのベトレーム」と題した展覧会がフリンスコ・ベトレーム史跡保護区で開催されます。ここでは、クリスマスのオーナメントで飾られたログハウス、そして民俗工芸家の手掛けたベトレームをご覧いただけますが、特にユニークな機械仕掛けのフリンスコ・ベトレームは必見です。また珍しいキリスト受難のベトレームや、藁や紙、あるいはクッキー生地から作られたベツレムも見られます。
野外でベトレームが見られる場所
リベレツ郊外のクリシュトヴォ・ウードリーでは、11月末に、画家ヨゼフ・イーラが手掛けたユニークな屋外ベトレーム展示され、夜は美しくライトアップされた姿を見ることができます。また東ボヘミアのククス病院の近くには「ベトレームへご一緒に」と名付けられたルートがあります。これはククスの広場から森の中、ブラウンのベトレームへと誘うものです。岩に彫られたこのベトレームは、もともと26体から成っていましたが、残念ながら現存しているものはそのうち10体のみとなっています。
この他、やはり一見の価値があるものとしては、北ボヘミア・ヴルフラビーの城の公園内にあるクルコノシェ・メルヘン・ベトレーム、あるいは東モラヴィア、ウヘルスケー・フラジシュチェ郊外のアミューズメント・センター「コヴォゾー」の木造り・金属製ベトレームが挙げられます。後者は動物が鉄くず、人が木で作られているという異色のものとなっています。美しいシュタムベルクの町では、30軒以上の家々や店舗、教会の窓の向こうに色々な種類のベツレヘムを見ながら、そぞろ歩きすることができます。全くの偶然ですが、シュタムベルクはその美しさ故に、モラビアのベツレヘムと別称される場所でもあるのです。
どうぞ貴方も是非チェコで、お気に入りのベトレームを発見してみてください。