チェスキー・クルムロフ
シュマヴァ山地の門とも呼ばれているチェスキー・クルムロフの町に一度来られたら、貴方も必ずやここに住み着きたい、あるいは少なくとももう一度戻って来たいと思われることでしょう。蛇行するヴルタヴァ川に囲まれたこの町は、かつてチェコで最高権力を握る貴族たちがその本拠地に定めていました。今日のクルムロフは、町の中心部の歴史保護区、エゴン・シーレ作品の広範なコレクション、魅力いっぱいのフォト・スタジオ、そしてチェコで最も美しい城の一つに数えられている城を提供しています。 中世の時代風景が稀に見る形でそのまま損なわれることなく保存されてきたので、チェスキー・クルムロフは、ユネスコ世界遺産に登録されました。

サイドル写真館~写真体験の軌跡をたどる 

サイドル写真館へようこそ!ここでは古き良き時代が、そのまま時間がとまったように留められています。この写真館=博物館は、ヨゼフ・サイドゥルとフランチシェック・サイドルという2人の名写真家に捧げられたものです。館内では、古いネガティブが醸し出す雰囲気、写真が広がり始めた時代の物語に思い切り浸ってください。ガラスネガ、古いカメラ、そして19世紀末から20世紀初頭にかけてのチェコ=ドイツ=オーストリアの記録写真などなど、その展示物はいずれもオリジナルばかりです。またサイドゥル親子の日記、メモ、顧客簿、あるいは当時の家具などが、このユニークなコレクションに、さらなる魅力のエッセンスを加えています。

エゴン・シーレ・アートセンター~芸術であふれる場所 

エゴン・シーレ:オーストリア人画家、イラストレーター、有名画家グスタフ・クリムトの弟子。挑発的な裸体画、町の風景画、自画像などで知られる表現派。シーレは、その母親の出身地であるチェスキー・クルムロフにしばしば滞在し、創作活動をしていました。鉄のカーテン消滅後、16世紀の旧ビール醸造所の建物内に発足したアートセンターは、3,000 m2という広大な空間を利用してシーレの生涯と作品を紹介しています。館内では、シーレの作品のほか、世界の20世紀現代アートの非常設展、あるいは芸術家向けチェコ伝統のカフェも季節に関わらずお楽しみいただけます。

チェスキー・クルムロフ城~チェコ有数の観光スポット 

チェスキー・クルムロフの町を見下ろすようにして誇り高く立ち聳えるこの一大建築遺産は、古城(キャッスル)と城館(シャトー)が一体となったユニークな城です。城の建築構造、建物外観、内装には14世紀から19世紀までの建設活動の軌跡が残されており、そのため中世の古城、そして華麗なルネサンス式の城館どちらの様子も一カ所で見分することができるのです。現在城内では観光客用に見学ルートはもちろん様々なアトラクション、イベントが用意されています。特にお勧めできるのが城内博物館で、ここでは大貴族が支配していた時代が、城の貴重な所蔵品の展示により紹介されています。また円柱形の城の塔にも是非登って、シュマヴァ山地周辺の素晴らしい景色を眺めてみてください。更に鍛冶場では、ベテラン職人の指導のもとで、灼熱の鉄を打つ作業を試すこともできます。そして入退城の際には、熊の堀見学もどうぞお忘れなく!現在ここにはマリア・テレジアと名付けられた巨大な雌熊が、城の番人の役割を果たしています。

町の中央部、ラトラーン、そして大人も子供も楽しめる博物館~街中に並ぶ建築遺産 

チェスキー・クルムロフでは、町の中心部の散策も欠かせません。ここは蛇行するヴルタヴァ川に四方を囲まれ、他の地区とは3つの橋で結ばれています。四角形のスヴォルノスト広場を縁取る色とりどりの建物は、まさに童話の中から出てきたようです。ここではゴシック、ルネサンス、そして少数ながらバロックの建物も見られます。またルネサンス式の市庁舎の広大なファサード、あるいはペスト柱(聖母マリアの柱像)近くに19世紀に建てられた石の噴水も一見の価値があります。ホラー好きの方には、蝋人形が生々しい拷問博物館(Muzeum útrpného právaがお勧め。一方お子様向けには、昔の人形300点が展示されたおとぎの家があります。さらにクルムロフ散策の際には、ラトラーンと呼ばれる地区にも足を延ばしてみましょう。これは町の中心部の北、城の下に位置する歴史地区で、町の中心部とは理髪師の橋(Lazebnický mostと呼ばれる橋で結ばれています。

ヴルタヴァ川~静かな旅の道連れ 

クルムロフのヴルタヴァ川は、初心者からベテランまで誰でもカヌー乗りが楽しめるウォータースポーツのメッカです。その下流は一年中航行可能で、シュマヴァ国立公園リプノ・ダム、悪魔の壁(Čertova stěna)と呼ばれる自然公園下に広がる峡谷、そしてチェスケー・ブジェヨヴィツェ盆地を深く貫く渓谷などを眺めながら、ゆったりとしたクルージングを楽しむことができます。チェスキー・クルムロフは、かつて重要な交易路として利用されていた川の岸に造られた町なので、町のどこにいても川のせせらぎがどこからか聞こえてくる、いわば川の町です。ロマンチストの貴方には、船のクルムロフ観光がお勧め。中でもまるでベニスにいるような気分にさせる、トーチで照らした木製いかだ船での夜のクルーズは一押しです。
 

チェスキー・クルムロフ周辺のお勧めエクスカーション 

思わずため息が出るほど美しいフルボカー・ナド・ヴルタヴォウ城とその周辺のロマンチックな地域、そして1870年代に建てられたいわゆる農村バロック式のユニークな建物で知られるホラショヴィツェ村は、クルムロフ同様一生心に残るスポットとなること間違いなしです。またヴィッシー・ブロットのシトー会修道院は、この会派の修道院としてはチェコ国内で唯一現在も機能しているもので、南ボヘミアで最も重要な文化遺産の一つに数えられています。ここでは観光客もトリエント・ミサに参加することができます。修道院ではさらにズラター・コルナ修道院もお勧め。その建物は、中央ヨーロッパで最も価値の高いゴシック建築物の一つとされています。