ヴェルブンク~モラヴィア=スロヴァキア地方の「新兵の踊り」
モラヴィア=スロヴァキア地方は、伝統文化と民俗文化が現在でも生活の一部として息づいている地方です。色彩と風味の豊かなこの地域で、舞踏や行進、祝祭の世界に入りこんでみてください。数百年の歴史を誇るこれらの伝統行事は今日でも人々に愛されており、わけても男性による踊り「ヴェルブンク」はその唯一無二の性格が認められユネスコの世界遺産にも登録されています。

お祭りの際は男性が民族衣装をまとい、ツィンバロム音楽や吹奏楽器による民俗音楽のリズムに合わせてヴェルブンクの踊りを披露します。もとは徴集兵がこの踊りによって兵役へ向かう心の準備ができていることを周囲に示し、またそうして若い娘たちに雄姿を披露したことが興りといわれています。

ヴェルブンクの踊りの特徴は、踊り手が決まった振り付けに縛られずに、自由に踊りを披露するところにあります。モラヴィア=スロヴァキア地方では、ヴェルブンクの踊りは覚えるものではなく、当地の男児はこの踊りをすでに身につけて生まれてくるといわれています。

色彩とリズムの渦に身をまかせる

ヴェルブンクの踊りでは、踊り手は同時に歌い手でもあります。歌と踊りのパートが交替し、そのテンポは踊りの技が繰り出されるに従いどんどん早くなっていきます。踊りには、飛んだり、跳ねたり、しゃがんだり、回転したり、手の平を叩いたりとさまざまの要素があります。

現在ヴェルブンクはさまざまなイベントに欠かせないものになっています。男性はこの踊りを饗宴の場やぶどう収穫祭、ダンスイベントなど、機会があるごとに披露しています。

ぜひモラヴィア=スロヴァキア地方にお越しになって、この地でしか体験することのできない踊り手たちが発するエネルギーを体感してみてください。