チェコ人建築家ヨゼフ・ゴチャールが20世紀初頭に黒い聖母の家の設計を手掛けたとき、既に2階部分に喫茶店を置くことが想定されていました。事実、完成後およそ10年に渡って喫茶店は実際に存在していたのですが、その後1920年代には廃止されてしまいました。その理由は…キュビズムが時代遅れと判断されたためとか。幸い80年以上の歳月を経て喫茶店は再開され、現在誰もがこの世界で唯一のキュビズム・カフェでコーヒーあるいはキュビズム・ケーキを楽しめるようになりました。

建築界の世界的至宝

市民会館およびこれに隣接する火薬塔のすぐ近く、ツェレトナー通りの角に立つのが黒い聖母の家と呼ばれる建物。世界的に有名なチェコ人建築家ヨゼフ・ゴチャールが設計したこの建物は、チェコ・キュビズム建築の最高傑作に属するのはもちろんのこと、世界的にも貴重な建築遺産の一つに数えられています。それもそのはず、キュビズムの建築への応用はチェコだけに見られる現象なのです。しかもこうした建物は、チェコ国内でも数ヵ所でしか見ることができません。中でもユニークなこの「黒い聖母の家」の2階部分には、これもまたユニークな喫茶店「グランカフェ・オリエント」が置かれています。グランド・カフェ・オリエントは、世界唯一のキュビズム・カフェで、ドイツの「フォークス」誌によると、ヨーロッパの美しい喫茶店ベスト7にランキングされています。

100%キュービズム空間

外から「黒い聖母の家」を見上げると、最初に目につくのが建物正面2階部分を縁取る小さなテラスですが、この内部がグランド・カフェ・オリエントです。キュビズムの建物入り口を抜け、階段を上がって喫茶店に入ると、その空間のユニークさにまず圧倒されることでしょう。ここは100%キュビズム空間なのです。コーヒーやケーキを口にしながら辺りを見回すと、シャンデリア、照明、椅子から、スプーンにいたるまで全てキュビズム様式であることに気がつきます。グランド・カフェ・オリエントは、夏季シーズン中はテラスもオープンしており、そこから周囲の美しい景色を鑑賞することもできます。グランド・カフェ・オリエントは、一言でいえば、ユニークな雰囲気と美、そしてエレガンスを提供するカフェなのです。
 
 

住所

Dům U Černé Matky Boží - Grand Café Orient Ovocný trh 19, 110 00 Praha 1