東ボヘミア地方が誇るのは、伝統工芸も含めた民俗芸能や伝承文化だけではありません。この地方の城郭や城館、宗教文化財の数、それにルネサンス様式からバ ロック様式、アール・ヌーヴォーを経て戦間期の近代建築にいたる多様な建築様式の傑作の数に関しては他を圧しています。美しい民俗建築はヴェセリー・コペ ツで見ることができます。フラデツ・クラーロヴェーとパルドゥビツェの旧市街地区は、全体が景観保護地区となっており一見の価値があります。またドゥヴー ル・クラーロヴェーにはサファリパークもあります。隅から隅まで東ボヘミア巡りをお楽しみください。

奇岩の絶景と謎のミイラ

奇岩の世界への入口はアドルシュパフの町です。町の向こうには息を呑むような岩々がそびえ立っています。いくつもの岩を結んでのびているハイキングコースをたどりながら、アドルシュパフ奇岩群の自然美を堪能することができます。歴史や建築、芸術がお目当ての方は、ククスまで足をのばすのがよいでしょう。ここでは、彫刻家M・B・ブラウンの作品「美徳の像」と「悪徳の像」のある美術館が興味を引きます。それからブロウモフ修道院を訪れるのも忘れられない体験になるはずです。地下室にはヴァンベルクの町人たちのミイラが34体保存されており、そのうち最も有名なのは刺繍職人だったマグダレナ・グランボヴァーのものです。

フラデツ・クラーロヴェーの建設史

チェ コで最も古い都市の一つであるフラデツ・クラーロヴェーの建設史は非常に興味深いものです。この町は18世紀においてはバロック様式の要塞でしたが、要塞 としての役割が果たされることはありませんでした。都市に新しい形を与えたのはヤン・コチェラとヨゼフ・ゴチャールの二人の建築家でした。二人は建物を建 てる際に赤レンガのみを使用し、その結果フラデツ・クラーロヴェーは「共和国のサロン」と呼ばれるようになったのです。一方、パルドゥビツェ市と結びつい ているのが、ヨーロッパ大陸で最古にして最も難易度が高いといわれている競馬の障害レース「パルドゥビツェ大障害」です。また、ヴェセリー・コペツの野外 博物館を練り歩く「謝肉祭の仮装行列」はユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

その他の観光地

格式ある伝統の町リトミシュルは文化と教育の中心地です。歴史的な意味で最も重要なのは、複雑な歴史を持つ城館です。建築遺産の数々のご見学が一段落となりましたら、ドゥヴール・クラーロヴェー動物園まで足をお運びください。この動物園は長い時間をかけてサファリパークに改装され、今では檻ではなく開放的な状態で飼育されているアフリカの野生動物を見学することができます。