偉大なチェコの音楽の巨匠たちを偲ぶ、華々しい行事が数多く準備されています。クラッシック音楽のアイコンともいえる世界的に有名な作曲家ベドジフ・スメタナは、200年前に誕生しました。彼への敬意をこめて、今年をチェコ音楽の年に定めたのです。チェコ音楽の年の枠内で、全国で数百件に及ぶコンサートが開催されます。
「クラシック」はなにも古典でなくていい
特に注目の文化行事の一つは、スメタナのリトミシュルでしょう。1824年の3月2日にベドジフ・スメタナが生まれたのは、リトミシュルの城にあるビール醸造場だったのです。
今年、6月13日から7月3日まで開催されるスメタナのリトミシュルは、プラハ以外の町で行われる音楽フェスティバルで最大級。しかもここでは、最高の舞台構成や芸術表現を楽しめるだけでなく、他にはない体験もできるのです。街自体が大変魅力的で、フェスティバルはUNESCOに登録された城館で開催されます。
国内の小規模な街でも、コンサートホールをクラッシック音楽が満たします。11月1日から24日まではヤナーチェク・ブルノ音楽祭を開催。このフェスティバルはニューヨークから東京までの多くの都市で成功を収めているオペラ、「イエヌーファ」の作曲家に捧げられるものです。今年は特に、ブルノにちなむアイコニックなオペラが上演される点で特別なもの。オペラ「利口な女狐の物語」の作曲から今年で100年目で、これを祝うためにヨーロッパ全土で活躍し世界的に有名なオペラ歌手、アダム・プラヘトカやカテジナ・コニェジーコヴァーらが出演します。
他にもヤナーチェク生誕170周年を祝うのは、オストラヴァで行われるレオシュ・ヤナ―チェク国際音楽祭です。今年の開催期間は5月30日から7月3日までとなっています。
チェコ音楽の年を盛り上げるコンサートの1つが、首都の歴史的中心地区で行われるプラハの春音楽祭でしょう。5月12日から6月3日にかけ、世界各国から数十に及ぶトップミュージシャン、オーケストラ、室内楽団が出演します。今年のプラハの春は、ベルリン・フィルハーモニーよるスメタナの「わが祖国」で開幕されます。国内で行われる最大級の音楽の祭典へ、5年ぶりにローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団が出演することになりました。指揮はチェコの現代指揮者の中では特に認められている、ローマのオーケストラの首席客員指揮者、ヤクプ・フルーシャがつとめます。
同様にアイコニックなシンフォニー「わが祖国」をもって壮大なオープニングが行われるのは、南ボヘミアの真珠とうたわれる都市で行われるチェスキー・クルムロフ室内楽フェスティバル 2024 (7月12日‐8月3日)です。ダンスを取り入れた演目が上演されるフェスティバル初日の夜の公演は、初めての試みとしてヴルタヴァ川河畔のロマンチックな公園で行われます。7月13日に行われるオペラ・ガラには、レジェンド的バリトン歌手のプラシド・ドミンゴが出演します。
アメリカで「新世界」を作曲したチェコの天才、アントニーン・ドヴォジャークへの敬意をこめ、トップレベルのソリスト、指揮者、国際的に有名なオーケストラ等が9月6日から24日の間、ドヴォジャークのプラハで演奏します。
視線の先の色彩
7月、サマー・ミュージック・フェスティバルのメッカはオストラヴァ。この街にある世界的に有名な、まるでSF映画の中のような独特の雰囲気を持つ工業エリア、ドルニー・ヴィートコヴィツェが舞台です。ここで、7月17日から20日の間、ヨーロッパで最高・最大のマルチジャンル・フェスティバル、カラーズ・オブ・オストラヴァが開催されるのです。今年の音楽祭にはポップやロックのスター達、レニー・クラヴィツ、サム・スミス、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ等が出演することが決まっています。また、7月3日から6日は、第10回となる中欧最大のダンスミュージック・フェスティバル、ビーツ・フォー・ラブも開催されます。
10月10日から13日、チェコの首都でもカラーに溺れることになります。チェコのカルチャー・イベントの中で最大級の行事の1つ、シグナル・フェスティバルです。プラハの通りや公共の場所、もちろん有名な歴史的建造物やそうでないものも、ライトデザイン界で有名な国内外のデザイナー達が指揮をとり、色鮮やかに輝きます。
ハリウッドのスターたちに会いに、温泉都市や修道院へ
本物の映画スターがやって来る国際映画祭の雰囲気を味わうために、なにもカンヌまで行く必要はありません。シャンパンが滝のように注がれ、映画の初上映やパーティーが行われ、映画スターがレッド・カーペットを歩く場はチェコにもあります。過去にはジョニー・デップ、ロバート・パティンソン、ロバート・レッドフォード、ジョン・トラボルタ、ウマ・サーマン他の大スター達も出席しました。6月28日から7月6日、UNESCO登録の温泉都市、カルロヴィ・ヴァリへどうぞ!
KVIFF 2023世界的至宝:ダンス、豚肉の宴そして女装の男の子
欧州最大・最古の国際フォークロア・フェスティバルはいかが?UNESCOにも登録された激しいダンスのヴェルブニュクも必見です。6月27日から30日まで、ストラージュニツェの屋外博物館にて開催。手帳へのメモを忘れずに。
チェコにはヴェルブンク以外にも、ユネスコ無形遺産に登録されたフォークロア伝統が存在します。フリネツコ地方の謝肉祭の仮装行列がそれで、色とりどりの仮面とともに、その場で振舞われる豚の加工肉、ドーナツ、そしてスリヴォヴィツェ(プラムの蒸留酒)でも知られています。四旬節中の肉の節制に先立つ期間には、大昔からチェコ国内いたるところで謝肉祭が行われていますが、世界遺産に登録されている仮装行列はフリネツコ地方のもの、ただ1つです。
チェコ文化シーンで長い伝統を誇るものとしては、王様騎行も忘れてはなりません。王を先頭に、そのしもべ達が、美しく飾り付けられた馬に乗って行進する…と描写しても、それがなぜユネスコ無形文化遺産に登録されるほど特別なものなのか、ピンとこないかもしれません。ところが当地の王様騎行は、王様役が小さな少年で、女の子の衣装を身にまとっているという実にユニークなものなのです。今年は5月25日と26日に、従者を従えて街を練り歩きます。
2024年ヨーロッパのクリスマス都市を、降誕節に是非訪れよう
クリスマス・マーケットのない年末は考えられません。プラハ、ブルノ、オロモウツ、オストラヴァ、チェスケー・ブデョヴィツェなど、チェコ中の街にポンチやホットワイン、焼きペルニークの香りが漂うのです!とはいっても、まだそれまでに時間がありますね。最高に美しいクリスマス・マーケットの情報は、もちろん時期が来たら皆さんにお伝えします。でも、ひとつ確実なことが。今年、ある街の降誕節を見逃してはいけません。それはブルノです。2024年ヨーロッパのクリスマス都市に認定されたのですから。