今年は、チェスキー・クルムロフの歴史地区が、プラハ、そしてテルチの歴史地区と同時に、チェコの名所旧跡としては初めてユネスコ世界文化遺産に登録されてから、ちょうど30年目に当たります。この間、チェスキー・クルムロフはどう変わってきたのでしょうか。また今日、どのような場所を訪れることができるのでしょうか。
チェスキー・クルムロフの復活
南ボヘミアの町、チェスキー・クルムロフは、非常に恵まれた町と言えます。ここには数世紀に渡って大貴族が居住し、古城、城館を築いてきました。そのため町には中世の入り組んだ路地とともに、ロマンチックで、神秘的ともいえる雰囲気が今もそのまま残されています。その後、かつて南ボヘミアの中心的存在だった町は、次第に単なる地方都市の1つと化していきましたが、歴史の町としての意義は保たれていたため、その歴史的な美しさは、その後も保持されていました。30年前ユネスコは、まさにこの歴史の町の真正性を高く評価し、1992年に正式にクルムロフを有形文化遺産に登録したのでした。その理由について、ユネスコは以下のとおり説明しています。「チェスキー・クルムロフは、歴史地区の構造、建物をその経済的意義により獲得し、そして過去5世紀に渡る組織的な開発による影響が比較的少ないことから、これを現在も保持している、中央ヨーロッパの小さな中世の町のまさに典型といえる」 この言葉は現在もそのまま当てはまります。クルムロフで新しい体験を!
チェスキー・クルムロフは、ユネスコ世界遺産の一員となってからの30年の間に、シュマヴァ山麓地方の1地方都市から、世界中から人が訪れる1大観光都市に生まれ変わりました。町の中心部の建物はいずれも念入りな修復を受けましたが、中には新たな機能を得たものもあります。例えば修道院地区。ここは今日博物館となっており、訪れる者に、数百年前の貴族の生活の様子をわかりやすい展示で示してくれています。ここでは例えば、鎖帷子の重さ、中世の古城の暖房法、500年前に使われていた香水などについて知ることができ、また薬草茶や入浴用の塩を調合したり、カリグラフィーや羽ペンを試したりすることもできます。この他クルムロフで過去30年間の間に修築が施された、一見の価値がある場所としては、サイドル写真館も挙げることができます。19世紀末から20世紀初頭にかけて写真館として機能していたこの空間が、貴方を歴史の世界にいざなってくれます。ここで写真を撮ってもらえば、他では決して得られない、一生心に残る記念写真となること間違いなしです。
一方バロックに関心のある方のためには、クルムロフは城内バロック劇場という非常にユニークな遺産を擁しています。このように18世紀当時の舞台装飾と仕掛けがそのまま残された劇場は、世界に4つしかありません。クルムロフ以外では、スウェーデンに2つありますが、もう1つはやはりチェコのリトミシュル城内で見ることができます。その中でもクルムロフの劇場の舞台装飾は最古のものとなっています。