レドニツェ=ヴァルチツェ地区で貴方を待ち受けるもの
南モラヴィア地方、
ブルノから車でほんの2、30分のところに位置する
レドニツェ=ヴァルチツェ地区は、
広大な公園、そして
リヒテンシュタイン家が建てたいくつかの
歴史建造物とから成っています。
レドニツェ城と
ヴァルチツェ城の他、公園の中には様々な小建造物が見られますが、その1つが、1798年のフランス、オーストリアの講和条約締結を記念して建てられた、高さ23mの
オベリスクです。その他ここには
ヤン城(ヨハン城)、
ミナレットあるいはかつて猟場番人小屋として使用されていた
狩猟館などもあります。またレドニツェの湖沼群周辺には、
アポロ寺院、池の家、境界の家、あるいは
新農場などがみられます。レドニツェとヴァルチツェの中間地点には、猟師の守護神・聖フベルトゥスの名を冠した
聖フベルト礼拝堂が立っており、またヴァルチツェ近郊には有名な3人の女性像を抱く
三女神の寺院、
ベルヴェデル城、ラーニ城、
レイストナ・コロナーダ、そして
ランデヴーなどがあるといった具合に、この地域は一見の価値がある興味深い建物で溢れています。
文化的景観コンセプトとユネスコ世界遺産登録
レドニツェ=ヴァルチツェ地区は、その敷地内に歴史的建造物、庭園建築、
湖沼、そして
サイクリングロード網などを擁し、
人工的に創造された地区としては欧州最大規模のものとされています。この地域の歴史は12世紀までさかのぼり、当時ゼーフェルトの一族がここに城の基礎を築きますが、後にその周囲に
ヴァルチツェの町が形成されました。また
レドニツェ城が創設されたのも、1220年頃とされていますが、現在のネオゴシック式の城が建てられたのは19世紀に入ってからのことです。文化的景観コンセプトに沿った地区の整備に乗り出したのは、リヒテンシュタイン公爵家で、18世紀に開始され、19世紀末まで続けられました。敷地全体が英国式庭園風に整備され、公爵家の憩いの場として活用される一方で、その景観が限りなく自然に近い形で保たれるよう工夫もなされました。1990年代に入ると、この文化的景観は、チェコ国家はもちろん、世界規模における最大限の保護が必要と認識されるようになり、1995年にまずチェコの景観保護区に指定され、そして
1996年12月7日には、
レドニツェ=ヴァルチツェ地区は、
ユネスコの自然・文化遺産に登録されたのです。
レドニツェ=ヴァルチツェ地区を最大限に楽しむ方法
地区全体が非常に広大な範囲におよぶため、徒歩で移動する場合にはその一部しか見ることができません。そこでお勧めしたいのがサイクリング。
サイクリングロード網が地区全体を縦横に走っているので、これを利用すれば、短い期間に名所旧跡を全て見学し、さらに素晴らしい景色も十二分に楽しむことができます。サイクリングロードは、
リヒテンシュタイン・コースと呼ばれる6つのコースに集約されています。例えばモラヴィアとオーストリアを結ぶ
フュルスト・コースでは、リヒテンシュタイン家が両国に残した名所旧跡を見学して、同家の軌跡を辿ることができますし、また地形的にも距離的にも最も難度が低い
ブジェツラフ・コースは、お子様連れでもお楽しみいただけます。どのコースも標識が完備されており、また軽食や休憩のためのスポットも数多く用意されています。サイクリングで、なだらかに傾斜したこの美しい土地をどうぞ存分にご満喫ください。
2021年レドニツェ=ヴァルチツェ音楽祭
今年は、南モラヴィアでは、古城見学や、公園散策、あるいはサイクリングのみならず、芸術体験もお楽しみいただけます。この秋、レドニツェ=ヴァルチツェ地区では、クラシック音楽祭が開催されるのです! 今年6回目を迎える
レドニツェ=ヴァルチツェ音楽祭では、
アントニオ・ヴィヴァルディの特集が予定されており、ヴィヴァルディに特化した音楽祭としては、欧州内で過去数十年間に開催された中で最大のものとなります。ヴィヴァルディ没280年記念となるこの音楽祭は、チェコ国内はもちろん、イタリア、フランス、スペインからも国を代表する音楽家、オーケストラが参加して、
2021年10月2日から16日まで開催されます。この秋の音楽の祭典では常に、クラシック音楽の世界と、レドニツェ=ヴァルチツェ地区の素晴らしい自然美と建築美との絶妙な融合を体験することができます。今年は特に、
2021年9月23日に、
ウィーンのリヒテンシュタイン宮殿内庭園で
音楽祭プロローグの開催が予定されていますが、ここではコンサートの観客を対象に、リヒテンシュタイン家の芸術コレクションも公開されることになっています。