チェコはビールの国と言われています。それもそのはず、ここでは既に何千年もビール醸造がなされており、文献に記録が残されている史上最古のビール醸造所は、何と紀元993年に創設されたものなのです。ここでは世界的に有名なチェコビール・ブランドから少し離れ、より規模の小さなビール醸造所の魅力をご紹介いたしましょう。
ホップの神殿
ジャテツのホップとビールの神殿は、2009年から2012年にかけて、旧ホップ貯蔵庫を改築して造られた比較的新しい観光スポットです。その立地にジャテツが選ばれたのは決して偶然ではありません。ジャテツ地方は昔からホップの栽培、売買が盛ん行われていた地で、ホップの神殿はそのユニークな伝統に根ざすものなのです。ここには展望台「ホップの灯台」がありますが、その頂上には3Dプロジェクター付きエレベーターで昇ることができます。また旧ホップ倉庫にはホップ貯蔵袋から作られた広大な迷路がありますし、更に「紋章の間」ではホップ地方の歴史を学ぶことができます。エリア内には天文時計も見られますが、これもホップに関係しています。外壁に取り付けられたこの時計は、地元の生活様式を示す寓意像で飾られています。ここにはもちろんレストラン&ミニ醸造所「ウ・オルロイェ」もあり、この地方の料理と特製ビールを提供しています。プルゼニュ産ビールだけじゃない
極上のビールは、プルゼニュ(ピルゼン)産に限られたものではありません。例えばチェコで最も伝統あるビール醸造所の一つに、1517年創設の中央ボヘミアのクルショヴィツェ・ロイヤル・ビール醸造所が挙げられます。クルショヴィツェ醸造所の見学は1週間前にご予約されることをお勧めいたします。試飲付き見学コースは所要時間約90分で、ビール醸造に関する様々な情報を提供してくれます。プラハから東に行ったところにあるヴェルケー・ポポヴィツェにも、やはりその歴史が16世紀にまでさかのぼる、古いビール醸造所が見られます。ここヴェルケー・ポポヴィツェ醸造所では、1874年以降一貫してビール醸造が続けられていますが、ここでも工場見学がオファーされています。見学コースでは、1928年に造られた煮沸室、地下貯蔵室などもご案内しますが、後者ではヴェルコポポヴィツキー・コゼルと呼ばれるノンフィルタービールの試飲をお楽しみいただけます。
プラハから西に向かって少し行ったところ、ベロウンには、ベロウンスキー・メドヴェットと呼ばれるビール醸造所があります。これは1872年に創設された市民の醸造所の伝統を受け継いだもので、ここでは何種類かのノンフィルタービール、酵母ビール(活性酵母を多く含むビール)をお試しいただけます。
南ボヘミアの温泉町トシェボニュの旧市街には、レゲント・ビール醸造所があります。この醸造所は1379年に創設されたもので、世界でも最も古いビール醸造所の一つに数えられています。ここでは工場見学に昼のコースと夜のコースとがあり、後者は松明の光の中で行われます。どちらも経験豊富なビール醸造専門家が、ビールの正しい注ぎ方を伝授してくれるという特典付きです。