シュマヴァ国立公園の自然美に直に触れることができる行き先には、文字通り数え切れないほどの選択肢があります。シュマヴァ最大の宝の一つは湖沼で、合計5つの湖沼があります。シュマヴァの湖沼探訪に格好の起点になるのはジェレズナー・ルダです。この町から道標の設置されたハイキングコースを進んで行くと、シュマヴァ最大の湖であるチェルネー・イェゼロ(「黒い湖」の意)にたどり着きます。急峻な岩場の上り道を進み、ヨーロッパ大分水界の一つを越えたところにチェルトヴォ・イェゼロ(「悪魔の湖」)があります。シュマヴァの湖沼の中で、チェルトヴォ・イェゼロは湖までの道のりは一番険しいものの、澄んだ湖面と周辺の森の豊かさもあって一番美しい湖とされています。13メートルの高さからウードリー・ビーレーホ・ポトカ(「白い渓流の谷」)に落ちるシュマヴァで一番高い滝ビーラー・ストゥルシュ(「白い山峡」)を目指してハイキングコースを進むのもよいでしょう。
大自然の寺院に入る
母なる大地が支配する神秘の自然に惹かれるという方は、クボヴァ・フチュ集落を起点として道標の設置されたハイキングコースを進み、ヨーロッパ有数の森林地帯の一つ、ボウビーン原生林(ボウビーンスキー・プラレス)の神秘の世界に足を踏み入れてみてください。この地にあるのは本物の大自然の寺院で、樹齢数百年の苔むした樹木や絡まり合った太い根、シダの深緑色の葉、ビロードのような苔で覆われた倒木などが見られます。要するにボウビーン原生林は手付かずの自然が残る場所なのです。最上の自然景観を満喫できるシュマヴァ探訪コースとして挙げられるのが、アンティーグル集落からチェニェク製材所(水車小屋)にいたるポヴィドジー自然遊歩道です。道標の設置されたハイキングコースを進みヴィドラ川(「カワウソ川」の意)の流れる深い渓谷に向かいます。ヴィドラ川は巨岩を伝って流れており、無数の小さい滝や早瀬を数多く形成しています。シュマヴァ国立公園の特別保護地区でご利用可能な唯一の山荘、トゥルネル山荘(トゥルネロヴァ・ハタ)に立ち寄ってみるのもよいでしょう。当地では川の名前の由来になったカワウソが飼育されています。ここでしばし腰を下ろし周囲の自然が織りなす絶妙なドラマを観察しながら安らぎのひと時をお過ごしください。
シュマヴァ湿原の神秘的な風景
一見に値するシュマヴァの宝として湿原を忘れるわけにはいきません。氷河期の最後の名残であるこの湿原には、モドラヴァからトゥシーイェゼルニー・スラチュ(「三湖の湿原」の意)にいたる自然遊歩道を進んで行くと出会うことができます。シュマヴァ湿原は多種多様な動植物の生命にあふれた場所です。ここでは木の道を散策しながら、蒼々とした水、霧に覆われた浮島、潅木などからなる少し北欧風の神秘的な風景を楽しむことができます。チェコで最も重要な河川の源流を訪ねたいという方は、シュマヴァ湿原からヴルタヴァ川の源流まで続くハイキングコースを進んでください。ヴルタヴァ川の水源はドイツ国境までほんの500メートルのところに位置しています。
木々のこずえを散策する
シュマヴァの自然探訪を目的としたハイキングやサイクリングのための最高の起点になるのは、チェコ最大の貯水湖リプノ湖の周辺地です。ハイキングコースまではバイクパーク・リプノのロープウェイで行くことができます。道標の設置されたハイキングコースでは、ぜひノルディックウォーキングをお楽しみください。聖トマーシュ山かアルプス展望台を目指して出かけるのもよいでしょう。数多く設けてある自然遊歩道を進めば自然観察とアウトドアの両方を楽しむことができます。丸太を流すために使用されたユニークなシュヴァルツェンベルク運河沿いのハイキングもお勧めです。木々のこずえの間を散策するのはどんな気分かお知りになりたい方は、クラモリーン山の頂上で実際にご体験になれます。そこでは地上24メートルの高さに位置している木々の間の道を散策することができます。一番のお楽しみは最後にあります。コースの最後の展望塔にたどり着くと、リプノ湖やシュマヴァの自然の見事な景色が目の前に広がるのです。下方へはチェコ国内最長のサマーボブスレーコースを利用して降りて行きます。雪が本格的に降ってくるとシュマヴァは、クロスカントリーやダウンヒルのスキーコースが整備されたスキーヤーたちの楽園に様変わりします。シュマヴァ山地は取りも直さず一年を通して楽しむことができる場所なのです。