飼育場の歴史
東ボヘミア、パルドビツェ近郊のクラドルビ・ナド・ラベムにおける儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観は、クラドルーバー白馬の繁殖と訓練の何世紀にも渡る歴史を実証する世界遺産です。クラドルビの飼育場は同時に、世界で最古の馬飼育場に数えられています。1579年に皇帝ルドルフ二世により宮廷馬飼育場に指定されて以来、ここはオールドクラドルーバー種と呼ばれる馬の本拠地となっています。
クラドルーバー種と呼ばれる馬は、現在クラドルビで主として白馬が、そしてスラチニャニで黒馬が飼育されています。クラドルビ・ナド・ラベムでは、種馬、繁殖用の雌馬、そしてこれらから産まれた子馬が500頭ほど飼われています。
オールドクラドルーバー種とは?
オールドクラドルーバー白馬は、もともと欧州の王家、皇帝の宮廷における儀式用に、一方オールドクラドルーバー黒馬は、高位聖職者の馬車用の馬として使用されていました。うちオールドクラドルーバー白馬は、今もスウェーデンやデンマークの王宮で、昔ながらの機能を果たしています。現在は主としてトロットレースで目にする機会が多いですが、この他ドレサージュ、スペイン乗馬学校式馬術のデモンストレーション、あるいは騎馬警察用の馬としても使用されています。またオールドクラドルーバー種の馬は、おとなしい性格であるため、ホースセラピーやレクリエーション乗馬目的にも広く利用されています。馬飼育場と城の見学
飼育場の敷地全体は、改築・整備後古典主義的外観を得ています。ここでは厩舎や馬車庫、オールドクラドルーバー馬に関する展示、そして城を解説付きで見学することができます。このほか、木こり小屋と呼ばれるバロック式の丸太小屋もご見学いただけますし、展望台からは周囲の壮大な景色もお楽しみいただけます。
歴史好きの方、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世と愛称シシィで知られる皇后エリザベート・イン・バイエルンの時代にタイムスリップしてみたいという方は、城の見学から始めましょう。当時の家具、設備で統一された12の部屋のほか、皇帝・皇后が敷地内に建てさせた教会で、2人の特別な習慣やその波乱に富んだ運命に思いを寄せてみてください。
馬車庫には、フェルディナンド一世の馬車、チェコスロバキア初代大統領トマーシュ・ガリック・マサリクの公用馬車をはじめとする貴重な馬車や橇が収められています。中でも帝用八頭立て馬車のモデルは圧巻です。一方博物館では、クラドルビにおける馬飼育500年の歴史を知ることができます。
この他、飼育場は毎年数回大規模な大会、イベントを開催、一般の人々が直接オールドクラドルーバー馬を目にする機会を提供しています。中でも最も有名なものとしては、4月のルドルフ杯 ― 国際トロットレース、5月のオールドクラドルーバー・ホース・デー、9月の家族団らんの集い「クラドルビ・ナルビ」、10月のフベルト乗馬会などが挙げられます。