中央ヨーロッパで都市に聖書由来の名前が付けられるのは珍しいことでした。イスラエルのナザレの近くにあるターボル山にちなんで名付けられたこの町は一つの例外と言えるでしょう。ボヘミアの宗教改革運動を支持した町の創設者たちは、人間の作った法を否定し、ただ神の法のみに従うという信念を持ってこの町を建設しました。当時この町の住民は個人の全財産を町の管理者に捧げました。そして、その財産は個々の必要に応じて再分配されました。
ターボルでは、広場の近くにやはりお勧めの店がいくつかあります。例えばワインバー「ティル」。ここではボヘミア、モラヴィアのワインのみならず、近郊の町、ストクーフ・ドゥールで作られたシードルもご賞味いただけます。古い品種のリンゴから作られるこのストクーフ・ドゥールのシードルは、英国やニューヨークのミシュラン星付きレストランにも出荷されていることで知られています。また広場に面して立っているインド・レストランも定評があり、ターボル近郊のみならず、遠い町からも人々がこの店を訪れています。
騎士の馬上槍試合
フス運動について理解を深めたい方は、国内屈指のゴシック建築である旧市庁舎の中の博物館をお訪ねください。旧市庁舎の地下からフス派の英雄ヤン・ジシュカの名を冠する中央広場の地下にかけて網の目のように地下道が張りめぐらされています。ジシュカは近郊のトゥロツノフ村出身の隻眼の軍事指揮官でした。体力に自信のある方は旧市庁舎の近くにある教会の塔に登ってみてください。塔から眺める旧市街の眺望は見ごたえがあります。中世の雰囲気を醸し出しているのが、円柱状の塔が特徴のコトノフという古城です。積極的に身体を動かすのがお好きの方には、中欧最古の貯水湖であるヨルダーン湖の湖畔のハイキングがお勧めです。中世にタイムスリップしてみたいという方は、9月に開催されるターボル祭りに合わせてターボルを訪れてください。ターボル祭りでは、歴史的な衣装で街を練り歩く行列や伝統工芸市だけでなく、中世の戦闘の様子を再現した騎士の馬上槍試合などもお楽しみになれます。