スラヴォニツェの町の景観の美しさは、16世紀にプラハとウィーンの間に郵便が整備されたことに負うところが大きく、当時その恩恵を受けた街道筋のスラヴォニツェの町人が自らの富を誇示するために競って住宅を美しく改築していました。その後、郵便街道が廃止され、町をスウェーデン軍が蹂躙し、ペストの大流行や三十年戦争の災難に遭った町の時間はまるで止まったようでした。そのため現在市街を散策すると、見事に装飾された建物の妻壁をルネサンス時代の建築家が手がけた往時そのままの姿で眺めることができるのです。
ホイップクリームのような建物の装飾
ルネサンスの精髄に触れることができるのがホルニー広場(山の手広場)です。まず518番の表札のある建物にお立ち寄りください。封筒型のズグラッフィート装飾や張り出し窓、持ち送りなどの個性的な建築装飾が見どころで、「アダムの創造」、「エデンの園からの追放」、「カインとアベル」など旧約聖書の場面をモチーフとした装飾をご鑑賞ください。隣の517番の建物はまさにショートケーキの家という感じです。精巧な外壁装飾を観察すると、天上の神々や王室の肖像画、黙示録の場面などのモチーフを見つけることができます。三角形の形をした平和広場では、往時の町人住宅に加えて聖母マリア柱をご覧になれます。ご自分のコンディションを試すために聖母マリア被昇天教会の塔を上ってみるというのはいかがでしょう。塔の上からは圧巻の眺望を満喫することができます。
地下探訪と文化探訪
スラヴォニツェで見どころ満載なのは地上だけではありません。この町では地下探訪も楽しむことができるのです。ゴム長靴とコートを借りて神秘的な地下迷宮の世界に入り込んでください。最古の地下道は700年前に造られました。地下を見学しながら、幾世紀にもわたり食品やワイン、ビールなどを保管してきた方法や、小さな作業場で一定の温度と冷涼な環境を要した作業に従事していた様子に想像をめぐらしてみてください。スラヴォニツェには活気に満ちた都市の側面もあり、毎年開催される「スラヴォニツェ文化の夏」のイベント期間中には数多くのコンサートや演劇を楽しんだり、古来の伝統工芸や当地ゆかりの人物にまつわるさまざまな物語に触れることができます。
周辺の観光地
スラヴォニツェでルネサンスの魅力を堪能なさった後は、近郊のおとぎ話から出てきたような町を訪れてみてください。一つ目の町インドジフ・フラデツでは白衣の婦人ペルフタに起こった悲劇に耳を傾けてみてください。白衣の婦人というのは当地の城館に住むチェコで最も有名な幽霊です。二つ目のおとぎの町テルチでは、ユネスコの世界遺産に登録されているチェコで最も美しいといわれる広場をご覧になれます。