シュマヴァは、南ボヘミアから西ボヘミアにかけて連なる広大な山地です。プラハから車でわずか2時間ほどですが、ここは全くの別世界。鬱蒼とした森、古色蒼然たる町、そして中世の古城が隣り合わせて存在する世界、それがシュマヴァなのです。当地の古城の中でも最も有名な城は3つありますが、いずれも他の城から近い場所に位置していることもあり、これらを総称してシュマヴァの3古城と呼ばれています。古城はそれぞれヴェルハルチツェ、カシュペルク、そしてラビーと名付けられていますが、この中で最も美しいものはどれでしょうか。巨大な廃墟ラビーか、ボヘミアで最も海抜の高い位置に建てられた王家の城、カシュペルクか、それともユニークな石橋を有するヴェルハルチツェ城でしょうか、その判断は貴方ご自身がその目でご覧になって下してください。

カシュペルク城 

カシュペルク丘陵からカシュペルク城に向かって歩いて行くと、この古城がボヘミアで最も海抜の高い場所に位置する王家の城であることが実感できます。城が立つ場所は海抜886メートルですので、長い上り坂を覚悟していく必要があります。その代わり、城からの眺望はまさに絶景。丸みを帯びた丘や細長く続く渓谷など、シュマヴァの全景を望むことができます。またカシュペルクは、3古城のうち、最も見学コースの多い城でもあります。ここでは中世の城における日常生活を紹介する典型的なガイド付き古城見学コースはもちろん、中世の古城の建築にスポットを当てたもの、あるいはお子様向けインタラクティブ・コースもお楽しみいただけます。

ヴェルハルチツェ城 

シュマヴァ山麓の町・スシツェのすぐ近くに位置するヴェルハルチツェ城は、観光シーズンには充実した見学コースを用意して、常に大勢の見学者を迎えています。貴方もこの城で中世最盛期へのタイムスリップを体験してみませんか。城の見学コースでは、城の貯水槽がおさめられた地下室や、ゴシック式の「天国の宮殿」内装、「プトナ」と呼ばれる側防塔、そして宮殿と塔を結ぶユニークな石橋などをご覧いただけます。この他城の敷地内には、ルネサンス式宮殿や城の旧ビール醸造所とレストランもあります。古城見学の後は、城下の村に位置する屋外民族博物館の散策がお勧め。ここでは近郊の村から運び移された、この地方に典型的な昔の家屋などがご覧いただけます。

ラビー城 

ヴェルハルチツェ城からほんの数キロ行ったところにあるのが、チェコ最大の城の廃墟、ラビー城です。この中世の城はチェコ国内でも古城の中の古城と言われており、かつて交易路、あるいはシュマヴァ・オタヴァ川の金採掘場所の防衛という、非常に重要な役割を果たしていました。そのためラビー城はしばしば攻撃の的となりましたが、それが全長3 kmにも及ぶ巨大な城壁を擁した理由でもありました。今日城跡に残されているのは古城の形骸のみのため、見学できる部分は旧宮殿と地下室、そして城の塔の空間に限られています。

その他の見どころ 

3古城は、いずれもシュマヴァの山麓に位置するため、ここを訪れる人は自然とシュマヴァ国立公園内のクヴィルダ、モドラヴァ、スルニーなど、大自然のど真ん中に位置する小さな村々に足を向けることになります。シュマヴァの緩やかな起伏は、サイクリングに最適で、初心者でもこなせるコースが必ず見つかるはずです。サイクリングロードで美しい自然を堪能した後は、エネルギー補給に是非シュマヴァの地ビールを試してみてください。