修道院の変貌
ボヘミア、モラヴィアの修道院の一部はユニークな変貌を遂げ、旅の体験に新たな可能性を切り開きました。ここでは、イラクサ製のユニークな帽子作り、ジークムント・フロイトの生家訪問、あるいは修道僧さながらの独居室での寝泊まりもご体験いただける修道院をご紹介いたしましましょう。さらにチェコの修道院では、美味しい自家製ビールやワインもお試しいただけます。

トリノ聖骸布が収められた修道院で宿泊 

東ボヘミアの町、ブロウモフの修道院は、今日もベネディクト会修道院として機能しています。ベネディクト会は修道院の復興を目指して様々な試みを行ったため、今日ここではスタイリッシュなカフェでのひと時、修道僧用独居室での宿泊、あるいは改装された美しい修道院庭園でのリラックス・タイムなどもご体験いただけます。また修道院内見学コースもいくつか用意されており、美しい図書室や貴重なトリノ聖骸布の複製をご覧いただけます。

ジークムント・フロイトとイラクサの帽子 

有名な精神分析学者、ジークムント・フロイトの生地、プシーボルの旧エスコラピオス修道院は、貴重な中世の書物および博物館を擁します。博物館では、イラクサやキノコから帽子を作る方法などを知ることができます。ここでは修道院見学のほか、ジークムント・フロイトの生家のご見学もどうぞお忘れなく。

三位一体! 

南ボヘミアチェスキー・クルムロフにお越しの際は、町の中心部にある3修道院地区も是非訪ねてみてください。これはフランシスコ会、クララ会、ベギン会の3つの異なる修道会の修道院が一カ所に集められたものです。ここには通常の展覧会のほか、中世の工芸、伝統的な知識、そして貴族の生活などを表した人間の知恵・能力のインタラクティブ展示もあり、例えば鎖帷子の重さ、中世の古城の暖房法、500年前に使われていた香水などについて知ることができます。また薬草茶や入浴用の塩を調合したり、カリグラフィーや羽ペンを試したり、あるいはチェスキー・クルムロフの大型模型を見学したり、そして各会派の歴史および修道院地区の建築史などを学んだりすることもできます。

メッテルニヒ宰相ゆかりの地へ 

西ボヘミアプラスィには、過去千年の間に、各時代の最高の建築家が参与して、修道院の壮麗な建物が築き上げられました。現在修道院は改装中で、新たな見学コースもいくつか準備されていますが、その中にはメッテルニヒ伯爵家とプラスィの関係を示す2階部分・新属人区コースも含まれています。また旧修道院長邸庭園も公開に向けて準備が進められており、一般への全面公開は2023年1月に開始される予定です。プラスィ修道院にお越しの際はまた、敷地内の生産施設区域に修築オープンした、国立技術博物館の展示館・建築遺産センターも是非ご見学ください。ここではその昔、私達の祖先が用いていた具体的な建築方法、手順について、詳細を知ることができるほか、様々な建築材に自分の手で触れてみたり、現在も生きている静力学的原則を実際に試してみたりすることもできます。

修道院で極上のモラヴィア・ワインを 

モラヴィアの町・ズノイモに位置するロウカ修道院は、かつてチェコ国内で最も規模の大きな修道院に属していました。修道院は、廃止されたときちょうど改築中で、結局工事が完了することはありませんでした。現在ここはワイン造り・樽製造博物館、美術館、ラピダリウム(石の博物館)、昔の工芸・修復技術講座用の工房などとなっています。また建物の一部はワイン製造会社、ズノヴィーン・ズノイモワイン販売所として利用しており、モラヴィア・ワインの中でも特に極上の品を提供しています。

新世代博物館が語る昔話 

ヴィソチナ地方の町、ジュジャール・ナト・サーザヴォウの修道院は、城館に改築されています。生きた歴史と自然、そして現代的要素との融合をご覧になりたいという方には、この場所はまさに理想的なスポット。ここには旧シトー会修道院の800年にもおよぶ歴史物語を語ってくれる新世代博物館があり、ユニークなマルチメディア要素が、貴方を文字通り物語の中に引き込んでくれます。更に城内には、バロック絵画・彫刻の常設展示場およびキンスキー家の美術館もあります。

芸術品で溢れるプラハのゴシック式・聖アネシュカ修道院

このゴシック式修道院は、旧市街の中心部、ヴルタヴァ川のすぐそばにあります。修道院は18世紀にオーストリア皇帝ヨーゼフ二世により廃止されており、現在この建物は国立美術館のユニークな中世美術コレクションの展示館として利用されています。そのおかげで今日私達は、本物のゴシックの建物の中で、ゴシック芸術を鑑賞することができるのです。ここにはチェコおよび欧州を代表する中世の芸術家、例えばマイスター・テオドリクルーカス・クラナッハ(父)などの作品が展示されているほか、美術館の1階では13~15世紀のチェコ中世彫刻作品の鋳造品展示がなされており、ここでは作品に実際に手で触れて味わうこともできます。

ホスチンネー 

この小さな町は、東ボヘミアクルコノシェ山麓に位置しています。ホスチンネーには旧フランシスコ会修道院・聖母マリア無原罪の御宿り教会のユニークなバロック地区がありますが、ここは近年非常に丹念な修築が施されました。バロック地区内の古代美術館では、1912年に作られた古代彫刻作品複製のコレクションをご覧いただけます。このコレクションは、紀元前7世紀から紀元2世紀に至るまでの期間を全て網羅しており、古代彫刻芸術の発展の様子を総合的且つ端的に表しています。

チェコで2番目に大きい美術館はクトナー・ホラに 

中央ボヘミアの町、クトナー・ホラの中心部には、イエズス会寄宿舎があります。今日、この聖バルボラ教会の陰に位置する建物は、GASK - 中央ボヘミア地方美術館となっており、その美しいコレクションの収納・見学の場として機能しています。その常設展示は「ステート・オブ・マインド(精神状態)」と名付けられていますが、その名が示す通り、伝統的な認識の殻を破ったコンセプトとなっています。この展示は人間の感情・思考の多様なスペクトルに根ざしており、例えばここでは「孤独」、「友情」あるいは「緊張」といった名称の作品がみられます。GASKはチェコで2番目に大きい美術館ですので、ここで半日過ごすことも可能です。

修道院のビールを是非お試しあれ! 

チェコ国内の修道院は軒並み廃止されてしまいましたが、中には現在も修道僧が住み、その伝統を守り続けているところもあります。そんな伝統の1つに数えられるのがビール醸造。プラハ市内にも、ビールを醸造している修道院が2ヵ所あります。1つはプレモントレ会に属するストラホフ修道院、そしてもう1つはベネディクト会のブジェヴノフ修道院です。どちらでも様々な種類、味のビールをご賞味いただけます。プラハ以外では、例えばウースチー・ナド・ラベム近郊のオセクのシトー会修道院、あるいはヴィソチナ地方・ジェリフのプレモントレ会修道院などでもビール醸造がなされています。こうした場所では観光客は必ずや大歓迎され、地元のレストランでは、そのミニ醸造所で造られた出来立ての地ビールを楽しませてもらえることでしょう。