テディベアから車のおもちゃへ
何世紀もの間、チェコのおもちゃはおとぎ話の登場人物や動物のヒーローなど人気キャラクターをモチーフにしてきました。しかし20世紀の初めには、テディベアや馬、人形などに加え新しいものをモチーフにするようになっていきました。プラハ芸術家協会アルテル(Artěl)は、美的価値だけでなく技術的革新も重視していました。その結果子供たちはミニチュアの車やトラクターでも遊び始めたのです。アルテルの伝統に則った手作りおもちゃたちは
モダニストのウェブサイトで購入することができます。第二次世界大戦後、チェコスロバキアのデザイナーは西ヨーロッパのデザイナーに比べ選択肢が非常に限られていました。材料や技術が足りず、間に合わせのおもちゃしか作ることができませんでした。それにもかかわらず、彼らは何世代にも渡って楽しまれ続けるような独創的なおもちゃを創り出すことに成功したのです。
動物パラダイス
戦後もっとも活躍したデザイナーは、ズリーン出身のリブシェ・ニクロヴァー(Libuše Niklová)です。ナパイェドラの街の近くを本拠地とするファトラ(Fatra)社は、今もプラスチックの製造に特化しています。リブシェ・ニクロヴァーは1960年代半ばにもう一人のデザイナー、アルフレッド・クルーゲと共にここで活動し始めました。彼らは工場からの廃棄物に興味を抱き、白黒の猫や明るい黄色のライオンの胴体部分にパイプオルガン用のワッシャーを使い始めるようになったのです。このデザインチームはゾウやバッファロー、キリンなどの形をした色鮮やかな膨らませるおもちゃをデザインし、これらは今でも
ファトラ社のウェブサイトで販売されています。
ボルトとナット
金属やブリキのおもちゃの製造者たちは、テディベアや人形で遊んで育つ子供たちにも遊んでもらえるよう試行錯誤していました。1946年からブリキのおもちゃの製造を専門としているコヴァップ(KOVAP)社はチェコでもっとも古い企業の一つです。かわいい
てんとう虫のおもちゃや、カーブやバックもできる
トラクターのおもちゃを見てみてください。また、
メルクル(Merkur)の金属製のキットもとても人気です。ヤロスラフ・ヴァンクル(Jaroslav Vancl)によって1920年に、若者の手先の器用さや創造性を刺激する目的で開発されました。このキットは今も高い人気を誇り、テクノロジーに興味のある人なら誰もがボルトやナットの山から何かを生み出す楽しさに魅了されるでしょう。現在もクレーンや車、戦車などを作ることができるキットが販売されています。
小さな世界
おもちゃが持つ特性は、IGRA生産協同組合のエンジニアであったイジー・カリナ(Jiří Kalina)によって生み出されたイグラーチェック(Igráček)でも重要な役割を担っています。彼はブリキの兵士に代わるおもちゃを模索していました。そこで彼は、手にさまざまな物を持たせることができるプラスチックの人形を作り出しました。これら人形は、れんが職人や看護師、シェフなど様々な職業の装いをしています。何十年もの間、
イグラーチェックは新しい流行に適応し子供達に現代社会の便利さを伝えようとしてきました。現在では、人形のための多機能車や、開くと小さな部屋や警察署になるブリーフケースなども購入することができます。
幾何学模様の魅力
一方で、チェコのおもちゃ市場にはレトロなおもちゃだけでなく、伝統工芸を軸としながらも子供達に革新的なおもちゃを届ける会社も存在しています。ブナの木からおもちゃを作る会社、クトゥル(Kutulu)もその一つです。ここの製造者たちは、シンプルさや幾何学の不思議さを大切にしています。
木製のセットからは1001もの異なる形を創り出すことができ、また子供や子孫は古代ギリシャの戦士たちについて学ぶこともできます。ウトゥクトゥ(Utukutu)も木製のおもちゃを製造している会社の一つです。デザイナーたちは物理療法の専門家たちと協力して
運動を補助するおもちゃを製作しています。スペクトルスウィングやジャングルジム、トンネルなどが開発され販売されています。スペクトラスウィングは色合いも相まって、自然で、かつ子供たちや家を明るくしてくれるような特有のデザイン性も兼ね備えたおもちゃになっています。