プラハのちょっと違った文化
最近、以前は工場や産業施設だった建物を文化拠点に変身させることが人気を博していますが、プラハも同様です。クラブ、バー、コンサート・ホール、劇場、ギャラリー、あるいはすこし変わった展示会場などが、一つの施設内にまとまっています。以下に、メインカルチャーの流れから少し外れた興味深い場所をいくつか紹介しましょう。
現代芸術の国際センターである「ミートファクトリー(MeetFactory」は、プラハ市内スミーホフ地区Smíchovの、ヴルタヴァ川やチーサジュスカー・ロウカ(Císařská louka)という中洲の近くにあります。2001年に、チェコの名高い芸術家ダヴィッド・チェルニー(David Černý)が設立した同施設は、プラハPrahaを世界の現代芸術界の流れに組み込ませることと、独立した国際文化センターを営むことを目的にしています。ミートファクトリーは、様々なジャンル(美術、音楽、演劇、映画、写真、文学など)の芸術とグループ・世代が交差する場となっています。
 
フォーラム・カルリーン(Forum Karlín」は、文化やメディアそして社交イベントが交差する場所です。1908年以来、ここで造られた当時最新式の蒸気ボイラーがオーストリア・ハンガリー帝国全域に出荷されましたが、現代は、収容人数3,000席の文化・社交イベント用多目的スペースの他に、モダンなメディア・放送スタジオやオフィス空間に生まれ変わった姿を目にすることができます。
 
2016年の春にできた「プラゴフカ・アート・ディストリクト(Pragovka Art District」という割と新しいコンセプトも、似たような歴史があります。設立目的は、プラハのヴィソチャニ地区にある、第一共和国時代(1918-1938)の伝説的な工場にもう一度息を吹き込むことでした。つまり、この芸術拠点は、昔、自動車やトラックそして飛行機を生産していた世界的に有名なPragaの旧工場内に位置しています。現代のPragovkaは、様々な芸術グループ間の協力を促進し、それらの中心的な会場を提供するためのマルチカルチャー・センターとして、躍動的な芸術地区となっています。
 
続いて、プラハにおける多目的なスペースとして、ホレショヴィツェ地区にある工場跡を改築してできた「現代美術センターDOXCentrum současného umění DOX」も挙げなければなりません。このDOXが目指している方向性は、現代社会が直面する様々なテーマや問題に対して批判的に反応する芸術プロジェクトによって、似たような他の展示組織とは趣を異にすることです。DOXセンターの建物は、現代の世界的な建築における最高傑作と言っても過言ではありません。3,000平方メートルを超える展示スペースの横には、カフェや本屋そしてデザイン・ショップもあります。最近では、DOXセンターの屋根の上にある、現代芸術と文学の錯綜を第一の目的とする非伝統的な木製の飛行船グリバーGulliver)の中に入ることも出来るようになりました。
 
多機能劇場ホール、いわゆる「小ステージ」、トレーニングホール、リハーサルスタジオ、ギャラリー、バーとレストランを備えた施設―それが「ヤトカ78 Jatka 78」です。この施設は、まるで、新サーカスダンス、非言語パフォーマンス、オルタナティブ、そして人形演劇のために作られたかのようなスペースです。チェコや外国の団体によるパフォーマンス演技、ワークショップ、展示やハプニングを楽しむことができます。
 
ホレショヴィツェ地区には、20世紀初頭に建設された工場のいくつかをひとつにつなげた「ラ・ファブリカ(La Fabrika」という文化施設もあります。ここでは、何よりも伝統に縛られない独創的な空間設定を必要とする演劇やダンスが上演されています。勿論、通常の展覧会、コンサート、伝統的な演劇も上演されることは言うまでもありません。
 
再生プロジェクトの中でも、とても特別な例が、「ヴニトロブロック(Vnitroblock」というプロジェクトです。なぜかというと、このプロジェクトが目指しているのは、一つの通りをまるごと復活させようとしているからです!うまく出来ているかどうかは、トゥサロヴァ(Tusarova)通り31番地とジェルニツカー(Dělnická)通り32番地の間を訪れて、ご自分の目で判断してみてください。コーヒーを味わったり、素敵なデザイナーの商品を購入したり、踊ったり、映画館に入ったりと、すべての活動を、ユニークな産業空間の跡地で楽しんでいただけます。