クールなチェコを発見
チェコにやって来る観光客は、例えばカレル橋についてはガイドブックなどで容易にその情報を得ることができます。でもチェコでどのエリアが「クール」か、そしてチェコ人が好んで訪ねる町はどこか、などといったことを知るのは、なかなか難しいことです。そんな型にはまった観光ガイドに飽き足らないという方のために用意されたのが、ここでご提供するインフォメーション。ここではチェコの「クール・シティ」に貴方をご案内する、スマホ用アプリケーションもご紹介しております。

クール・プラハ:ヒップスター・カフェからエネルギー漲るリバーサイドまで


 ベルリンにクロイツベルク、パリにボヘミアンのモンマルトルがあるように、プラハにもオルタナティヴなライフスタイルのシンボルとなっている場所があります。それはヴルショヴィツェ地区のクリムスカー通り。ここにはスタイリッシュなカフェや芸術に親しむことができる空間が集まっています。この場所の急激な発展のもととなったのは、アクティヴィスト・カフェ「ヴ・レセ」。そのオーナー、オンドジェイ・コブザは、面白いアイデアで、プラハの公共のスペースが生き生きと活気ある場所になるよう盛り上げ役を買っています。このエネルギッシュなカフェ・オーナーは、例えば「ピアノ・オン・ザ・ストリート」と呼ばれるプロジェクトの火付け役としても知られています。そのコンセプトはプラハ市内数ヵ所にピアノを置き、誰でも自由に弾くことができるようにするというもので、もちろんツーリストの貴方もここで好きなようにその独創力を発揮することができます。更にヴルショヴィツェ地区では第一共和国時代のカフェ・スラトコフスキ、あるいはカフェ・カナッペなどのレトロな喫茶店、レストランを訪れるのもお忘れなく。

 晴れた日には、プラハの「ナープラフカ」と呼ばれるリバーサイド地区が、シアター・シップや、カフェ、バー、野外映画館、ファーマーズ・マーケットなどでエネルギッシュに脈打ちます。貴方も気の合う仲間と川岸に座り、あらゆる感覚を駆使してこの町を感じてみてください。同様のリラックス・ムードはまた、プラハ市内に点在する公園でも味わうことができます。公園はピクニックにはもちろん、フリスビーやスラックライン、あるいはペタンクなどのスポーツにも最適の場所。特にクール・マップから絶対にはずすことのできない公園としては、ストロモフカ公園が挙げられます。ここでは夏にはダンスや、深緑の中でのバーベキューに興じたり、あるいはチルアウト・ミュージックをバックにデッキチェアでリラックスしたりと楽しみ方色々です。このほか若い観光客の間では、「大衆酒場地区」ジシュコフや、産業地区ホレショヴィツェなども人気を呼んでいます。後者では特にオルタナティヴ・テクノ・クラブ「クロス」や、定期的にインディーズの演劇、音楽プロジェクトの会場となっているマルチカルチャー・スペース「ヤトカ78」が評判です。

「知られざる町」アプリで、プルゼニュ市民の物語を知ろう


ビールで有名な西ボヘミアの町・プルゼニュは、今年初頭に欧州文化の中心地に早変わり。世界中の若者たちが楽しめる町となること確実です。この町をクールに過ごすためのお勧めは、何と言ってもヴィジュアル的にも美しいアクロバット要素をふんだんに盛り込んだ新感覚のサーカス、そしてユニークな展示会「フレッシュ・エアー・ギャラリー」。一方、プルゼニュを別の視点から知りたいという方は、「スクリテー・ムニェスト(隠された街、知られざる町の意)」のアプリをダウンロードするのをお忘れなく。ちょっぴり変わったこのガイドは、ビール醸造と切っても切れない関係にあるプルゼニュの歴史、そして現代の片隅に隠された場所に案内してくれます。この携帯アプリは、9人のプルゼニュ市民の物語を展開するもので、貴方はそれぞれのストーリーの主人公の目から見た町を見学することができるのです。例えば退役軍人のトミーは、戦時中、そして米軍によるプルゼニュ解放の様子を回想、そして芸術家のヴェロニカは、町を文化的要素として紹介するといった具合です。アプリ「スクリテー・ムニェスト」は、www.aplikace.skrytemesto.czにてダウンロードすることができます。
 

ブルノのサプライズは、カフェ&バー・カルチャー


 南モラヴィアの中心都市・ブルノは、独特な雰囲気と幅広いメニューやプログラムを提供する小さなカフェが数多く存在することで、チェコ国内のみならず外国でもよく知られています。最近この町で広がり始めた新しい現象として話題になっているのが、飲み物の質とオリジナリティーにこだわったバー。そのパイオニア的存在となっているのが、アンドレイ・ヴァリシュとホンザ・ヴラヒンスキーという二人の若者です。彼らは、アラスカ旅行中に、自分たちも最後の客とともに閉店となる、そんなバーを作ろうと決意、ブルノに戻って「存在しないバー」と名付けた店を開業しました。この名はアメリカの禁酒時代、アルコール販売ライセンスを持たない者が営業するもぐりの酒場にちなんで付けられたものです。昨年夏からは、この現象に「スーパー・パンダ・サーカス」バーが加わりました。この店は本当に「違いのわかる」客にターゲットを絞った、まるでサーカスのテントにいるかのような独特な雰囲気を湛えています。また伝統のチェコを味わいたいという方には、チェコ伝統メニューと地元の材料に重点を置いた「ビストロ・ソウル」がお勧め。そして、ブルノのカフェ、バー、あるいはレストランの秘密を探求したいという方は、地元のとっておきの美味しいものへと貴方をいざなってくれる「フィールローカル」散策に是非お出かけください。

 
インダストリアルなオストラヴァで、オルタナティヴ・スペースを発見


 若者たちのエネルギーとその熱狂は、チェコ北東部の中心地、オストラヴァでも感知可能。ここではパンクミュージック・クラブ「プランB」あるいはマルチジャンルの音楽がかかるクラブ「バラーク」など、あらゆる音楽ジャンルのファンが、そのお気に入りの場所を見出すことができます。オストラヴァ来訪の確かな軌跡を残したいという方には、半官半民の「アブサン・クラブ・レス」がお勧め。ここには壁に紙が掛かっていて、客はこれに手、足、そしてお尻の跡を自由に残していくことができるようになっています。

 オストラヴァの町は、近年ドルニー・ヴィートコヴィツェの工業地区を背景に開催されるフェスティバル「カラーズ・オブ・オストラヴァ」で、チェコ国外でもその名を知られるようになっています。つい25年前まで実際に採掘されていた廃坑内の建物「フルビナ」は、今日新たなアート・センターに生まれ変わりました。ここには、写真、映画、絵画、あるいはビデオマッピングなどのアトリエ、そしてクラブ、映画館などがオープンする予定です。8月にはここで、音楽とその他の芸術形態とを結合させたイベント、第1回「3アートビート」フェスティバルが開催されます。

オロモウツ:映画祭、小さな地ビール醸造所、そしてトヴァルージェック


 歴史遺産に溢れた古都も、クールになりうる。アクティヴな学生コミュニティが存在するオロモウツは、その典型的な例です。ここで成功をおさめた数多くのプロジェクトの中でも、特記すべきは、既に50周年を迎える欧州最大の通俗科学映画祭「アカデミー・フィルム・オロモウツ」。フェスティバルを訪れる者は、オープンでアカデミックな雰囲気のなか、BBCのシリーズ「ライフ」のプロデューサー、マーサ・ホームズ、あるいは世界的に有名な生物学者スティーヴ・ジョーンズなど、世界的な通俗科学者と出会うことができます。毎年このフェスティバル内で、BBCやディスカヴァリー・チャンネル、ナショナル・ジオグラフィックで評判の高かった映像作品も紹介しています。

 オロモウツではまた、小さな地ビール醸造所を訪れるのもお忘れなく。そしてこの黄金の飲み物に欠かせないおつまみと言えば、やはりトヴァルージェック。その生産の歴史は15世紀まで遡るという、チェコの香りの強い独特の熟成チーズ。本格的なトヴァルージェックを販売する唯一の自動販売機を置いている市内インフォメーション・センターでもお求めいただけます。
 
 貴方もクール・チェコのユニークな体験をして、そのストーリーをシェアしてみませんか。チェコのクール・シティに関する詳細は、www.coolczechguide.czをご参照ください。このサイトでは、携帯アプリもダウンロードすることができます。