百歳の貴婦人
プラハのホテル・インペリアルは、今年開業100年目を迎えます。5ッ星ホテル・インペリアルは、町の中心部、市民会館より歩いて数分の距離に位置しており、その建物はアールデコ様式の典型を呈しています。現在ホテルは、特にその一流レストラン「カフェ・インペリアル」の存在により、名が知られるようになりました。
インペリアル・ホテル、そしてカフェの歴史は、20世紀初頭に遡ります。当時現在ホテルがある場所には、「ウ・チェルネーホ・オルラ(「黒い鷲」の意)」と呼ばれる旅人用の宿屋が立っていました。1914年、有名なプラハのホテル王、コラージュ兄弟が、ホテル・パリを売却し、このウ・チェルネーホ・オルラを買い取ります。その後宿屋を取り壊して、その場所に建てたのが、現在のモダン且つエレガントなホテル・インペリアルです。建物の外観は仄かなキュービズムの要素を併せ持つアールデコ様式で、内部は後期アールヌーボー様式のモザイクで飾られています。
インペリアルは、1914年に開業するやいなや、たちまち当時のビジネスマン、そしてカップルの理想的会合の場として注目を集めるようになりました。インペリアルは、作家フランツ・カフカがコーヒーを飲みに通っていた場所として、あるいは作曲家レオシュ・ヤナーチェックが泊まっていた宿としても知られています。
2007年には、ホテルは大規模な改築を受けましたが、その際何よりも、オリジナルの建築コンセプトがそのまま保持されるよう、細心の注意がなされました。その理由のひとつは、ホテル・インペリアルが、ユネスコ 世界遺産であるプラハ の一連の歴史建築物の一部を構成しているという事実にあります。
主役はグランド・ホテル
カルロヴィ・ヴァリは、19世紀に飛躍的な発展を遂げました。この地の温泉には、王家の一員から大企業家、あるいは一流芸術家まで当時のあらゆるセレブが、世界中から湯治に訪れていました。プップ家は、既に1701年よりカルロヴィ・ヴァリで事業を展開していましたが、ネオバロック式のプップ・ホテルは、後の19世紀から20世紀にかけて建てられた幾つかの建物を改築して造られたものです。設計は、ウィーンの有名な建築家、フェルディナンド・フェルナーとヘルマン・ヘルマーが手掛けました。このほか彼らの作品としては、ヴジードロ・コロネードやカルロヴィ・ヴァリ劇場の建物も挙げられます。第二次世界大戦勃発直前に、プップ家は隣接する最後の建物、「神の目の家」の買収に成功しました。この建物が現在のカフェ・プップです。
世界中の国王、皇帝、芸術家、音楽家、あるいは有名な俳優達が競って利用したこの超高級ホテルは、現在も欧州で最も栄誉あるホテルの一つに数えられています。映画ファンの方には、グランドホテル・プップが、過去に何度か銀幕に登場したという事実の方が重要かもしれません。よく知られた作品としては、ジェラール・ドパルデュー主演の「ラスト・ホリデイ」、ダニエル・クレイグ主演の007シリーズ「カジノ・ロワイヤル」、あるいは伝記物「エディット・ピアフ」などが挙げられます。
毎年夏に、グランドホテル・プップは、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の到来により更に活気づきます。映画祭のメイン・ゲスト、すなわち世界的映画スター達が、このホテル最高級スイートの宿泊客と化すのです。