ボブロヴァーの聖ペトル・パヴェル教会
史料が建築家の名前を残していなくとも、教会の細部に見られる特徴から、チェコのバロック建築家であるヤン・ブラジェイ・サンティニ・アイフルがこの教会の建設に関わっていることは明白です。ボブロヴァーの教会は、ユネスコ世界遺産のリストに記載されている、有名なジャール・ナド・サーザヴォウそばゼレナー・ホラの巡礼地に近い場所にあります。  
工事が完了した1722年当時、教会はジャール・ナド・サーザヴォウ近くに位置する修道院の管理下にありました。サンティニは修道院のために、近隣の町や村に似通った特徴をもつ教会を幾つか建設しています。その特徴とは、バロックとしては非典型的といえるシンプルなラインを持つ外装と、光と影の織りなす世界を強調している点にあります。

サンティニはプロジェクトにおいて、教会のそれまでの様相を全体的かつ劇的に変える方針をとりました。改装前の後期ロマンス様式の名残は、祭壇つきの内陣に作り変えられた、もとの身廊部分のみで、それ以外の教会全体の作りを変更してしまいました。この内陣の東側には、新たな身廊を付け加えています。5面の形状をした入り口は重厚なバロック様式で、イタリアの建築、特にボッロミーニによるローマの建築物のファサードを手本にしたことを思わせる作りになっています。