ワイナリー建築の魅力
ワインには楽しい雰囲気、団らんや気の置けない友人達が付き物。ボヘミアやモラビアのワイナリーの中には、優れた品種、地域の特産品、ユニークなセラーやロマンチックなワインヤードだけでなく、近代的なワイナリー建築を自慢にしているところもあります。多くは魅力あるミニマリスティックな建築物で、チェコのワイナリーのレベルをより高いものにしています。さあ、伝統的な葡萄の収穫祭シーズン到来です。この機会に私達と一緒に、美味しいワインあふれるフレンドリーな雰囲気の中へ出かけてみましょう。

民族衣装とダンスが彩る収穫祭



パーラヴァ太陽ワイン心地よい雰囲気にあふれる地方です。徒歩での観光客サイクリスト、赤ちゃんからお年寄りまで全年代の人々に愛されています。ロマンチックなワイナリー地域の中心となる町は、ミクロフ。ここでは202496日から8日までの間、有名なパーラヴァ葡萄収穫祭が行われます。このお祭りでは、ボヘミアやモラビアワインのテイスティングだけでなく、カルチャープログラムやチェンバロ音楽も楽しめます。

国内最大のワインの祭典は太陽に恵まれたチェコの南の町ズノイモで開催されます。今年、ズノイモ歴史葡萄収穫祭は40周年を迎えます。スパークリングドリンク、ワイン、シャンパン、あるいは発酵し始めでアルコールの含まれた葡萄果汁の、美味なブルチャークが祭りの中心です。フェンシングを行う一方でポップミュージックの歌手が出演するなど、14のマルチジャンル分野で構成される独特なお祭は、2024913日から15日まで行われます。



ヴルタヴァ川エルベ川の合流点、ムニェルニークの町の歴史的中心部も、歴史的な景観を背景にテイスティングを楽しめる場所の1つです。伝統的なワイン行事であるムニェルニークの収穫祭は、2024920日から22日まで花火も打ち上げられます。極上の飲み物と素晴らしい文化や歴史が融合する機会としては、UNESCOのリストに載せられているレドニツェ-ヴァルチツェ地区の中心地で行われるヴァルチツェの収穫祭も挙げられるでしょう。2024104日から5開催の祭りのプログラムには、民族衣装でのダンス手工芸品、特産品やコンサートなどがあります。

極上のワインを求めてプラハへ

プラハだって負けていません。驚嘆するような歴史的遺産や美しい眺めだけでなく、素晴らしいワインヤードもあるのです。プラハ城での葡萄収穫祭は202497日、8王の庭で行われます。プラハの反対側では、2024年9月20日と21日にグレーボフカ(Grébovka)の葡萄収穫祭が行われます。この収穫祭は人で混み合うことがあまりありません。チェコのワインの祭典・晩夏のお祭りは、プラハ動物園に近い植物園ワインヤードでも行われます(2024914日、15)。さあ、乾杯しましょう!

ワイナリー・ラホフェルの魅力的建築

ズノイモの近くに位置するラホフェル・ワイナリーの新館は、有名なチェコの建築スタジオがその設計を担当、ズノイモ近郊の町・ドブシツェの葡萄園に囲まれた伝統的な南モラヴィアの地で建設が実現されました。ここでは生産空間、およびビジター・センター、そしてオフィスもが1つの場所に集約されています。デザインの核となっているのは葡萄園に連なる葡萄の列をモチーフにしたもので、館内一帯にこれが繰り返されています。また最もユニークな要素としては、歩行用屋根が挙げられます。ここは夏にはアンフィテアトルムとして機能、コンサート、映画上映会など様々なイベントの舞台として使用されています。新館にはまた一般用あるいはプライベートなワイン試飲会開催に最適な100人収容可能なホールのほか、ワインショップ、木製の樽が保管されているワインセラーなども用意されています。


ソンベルク・ワイナリー 

ミクロフ市周辺の葡萄園は、チェコで最高の部類に数えられています。既に16世紀より、当地で造られたワインはプラハの王宮、あるいはウィーンの皇帝の食卓に届けられていました。中でもこの地方で一押しのワイナリーは、ソンベルク・ワイナリーです。ポピツェ村に位置するワイナリー・ハウスは木造で、そこからは周囲の素晴らしい景色を楽しむことができます。建物はその建材、そして形状ともに周囲の環境に溶け込むよう、細心の注意を払って建てられています。その中心となっているのは、湾曲した板金から成る波型の一風変わった屋根で、秋、冬にはこの屋根の下でヴァン・ド・パイユ用の葡萄の乾燥が行われます。また建物に続くアプローチと建物を結ぶ広い階段も非常に重要な要素で、極上ワインのウェルカムドリンクでビジターを迎える場となっています。地元のワインはまた、チェコ最小の山地・パーラヴァを望む広大なテラスでもご賞味いただけます。


ワイナリー「スタリー・ヴルフ」 

前述のワイナリーから少し北に行ったところに、フストペチェと呼ばれる町があります。ここのスタリー・ヴルフは、創設10年足らずの比較的新しいワイナリーですが、既にモダン・ワイナリーのスタンダードとして確固たる地位を築いています。スタリー・ヴルフは、最新テクノロジー、そして上質の原料をその基盤としていますが、特に後者はワイナリーのベースであり、クオリティの高いモラヴィア・ワイン完成への道しるべともなっていると考えています。ワイナリー・ハウスは、コンクリート、木材、そして自然の石材を混合して建てられたもので、これら全てがワイン試飲、友との団欒、そしてリラクゼーションに最適な環境を創り出しています。ワインは、伝統的なモラヴィア原産種の、国内最高ランクに属する極上ワインをご賞味いただけます。

ワイナリー「クラースナー・ホラ」 

次にご紹介する珠玉のワイナリー建築は、ホドニーン市の近くに位置するワイナリー「クラースナー・ホラ」です。いわゆるビオダイナミック農法で葡萄栽培する小さな家族経営のビオワイナリーですので、この分野に関心のある方は是非お訪ねください。ここでは極上のワインのほか、オーナーと建築家との共同作品であるワイナリー・ハウスも際立っています。これはもともと典型的な農家だったものを改築したもので、完成後この趣に溢れた建物は数々の建築部門における賞や専門家の高評価を得ました。またワイン醸造の際には、葡萄の味を最大限に生かす手法を採用、主として自然のドライなワイン作りに重きをおいています。

オベリスク・ワイナリー 

オベリスク・ワイナリーは、レドニツェ=ヴァルチツェ地区ヴァルチツェ近郊にあります。ワイナリー・ハウスの建物は、この地にリヒテンシュタイン家が残した伝統を受け継いだものとなっており、近代的な建物ではあっても、レドニツェ=ヴァルチツェ地方に点在する古典主義の聖堂にインスピレーションを受けていることは明らかです。石材、コンクリート、オーク材といった自然の建材を、ガラス、スチール、コルテン鋼などが補充、これら材料が全て年月を経てさらに趣を増していくことでしょう。ワイナリー・ハウス内で味わうオベリスク・ワインは、この地のテロワールの質の高さを改めて認識させてくれます。