チェコに住む大学生のインターン体験記&チェコ留学記[前編]

みなさん初めまして!2023年1月からチェコ政府観光局でインターンをしている、西村柚佳です。札幌市出身で、地元の短大を卒業後、2020年9月からチェコのプラハに留学しています。大学では観光学を専攻していて、チェコからリモートでインターンシップに参加しています。

観光局でインターンをしている私が「なぜチェコに?チェコの大学ってどうなの?チェコ政府観光局のインターンって何をするの?」という皆さんが気になるであろう疑問に答えるべく、チェコでの留学&生活とインターンでの体験についてお届けします。
 
前半となる今回はチェコでの留学・生活についてお話しします。
 

なぜチェコに留学?

短大時代にニセコでのインターンシップをしたことがきっかけで、観光に興味を持つようになりました。もともと海外の大学に行くのが夢だったので、英語で観光を学べる大学を探し始め、現在通っている大学を見つけたのが、チェコへの留学を決めたきっかけです。

チェコへの留学を決めた理由

学費/物価

一番の決め手は、現実的な理由ですが学費でした。最初は英語圏への留学を考えていたのですが、どこも高額なため断念しました。現在チェコで通っている大学は私立大学で、1年間の授業料は2700ユーロ(現在は3500ユーロ)です。3年制なので、100万円程度で卒業できます。ちなみにチェコ語で学ぶプログラムはさらに安く、国立大学は無料です。

学費の他にも、物価が安いことも決め手になりました。

エラスムスプログラム(Erasmus)

エラスムスプログラムはEU圏内の協定校に追加授業料を支払うことなく留学できる留学制度の一つです。とても魅力的でしたが、コロナのパンデミックの影響もあり利用することはありませんでした。

治安の良さ

海外で生活するとなると、安全な環境は必須でした。チェコに知り合いもいなければ、来たこともなかったので不安でしたが、2018年の世界平和度指数(Global Peace Index)でチェコが7位にランクインしていたのを見て安心できました。

旅行のしやすさ

チェコは、陸路でスロバキア、オーストリア、ドイツなどの近くの国に簡単に行くことができます。飛行機を使えば、2〜3時間でヨーロッパのほとんどの国に行くことができます。旅行が好きな私にとってこの情報はとても魅力的でした!
 

チェコに来てよかったこと

街並みが綺麗

初めてプラハに来たとき、街の美しさに感動したのですが、2年半経った今も同じように感動しています。何気ない街の景色もとても美しく、季節によって表情が変わるので、散歩するのも楽しいです。そしてプラハは「建築博物館」と言われるほど歴史的建造物が多く、そうした建物が日常生活の一部になっています。実際に住んでいたアパートが1300年からの歴史を持つ建物だったのには驚きました。


大好きなヴルタヴァ川沿いの景色

観光スポットが多い

プラハには定番の観光地以外にも、あまり知られていない素晴らしい場所がたくさんあるので、全く飽きないです。他の都市へもバスや電車で簡単に行くことができるので、気軽に日帰り旅行ができます。


プラハから日帰りで行けるチェスキー・クルムロフ

食べ物が美味しい

食べることが大好きなので「食」は重要なポイントです(笑)チェコ料理は全般的に好きで、特にスヴィーチュコヴァー、ペチェナー・カフナ、タタラークがお気に入りです。チェコ料理はクセが少なく、とても食べやすいので、日本でもチェコ料理が流行ればいいなと思います。

レストランのジャンルも豊富で、ベトナム料理からヴィーガン料理、そしてモダンなレストランが多く、外食するのも楽しいです。日本食レストランは少ないですが、食材は手に入るので自分で作ることができます。アジア系スーパーでは味噌、みりん、ごま油などの調味料、普通のスーパーでも醤油、白菜、大根、豆腐、青ネギなどの日本らしい食材を買うことができます。


タタラーク

治安がいい

他のヨーロッパの国にもいくつか行きましたが、チェコが一番安全だと感じました。日本と同じように、パソコンや携帯などの貴重品をカフェのテーブルに置いたまま、どこかに行ってしまう人をよく見かけます(笑)それでも、安心安全というわけではないので、夜道やスリなどには注意が必要です。
 

チェコと日本の大学の違い?

あくまでも私の経験の話です。全てのチェコの大学に共通することではないので、参考程度に見てください。

入試がない

私の大学は入試がなく、志望動機書と簡単な履歴書を提出するだけでした。授業は英語で行われますが、特に英語のレベルを証明する必要はなくB2が基準だと言われました。
 

校外学習が多い

日本も高校までは校外学習が多かった覚えがありますが、私の通っている大学は外での授業が多くあります。例えばアグリツーリズムではウーヴァリ(チェコ語表記を追加)というプラハ郊外に、スパツーリズムではポジェブラディ(Poděbrady)というスパタウンに、文化ツーリズムでは国立歌劇場へ授業の一環として訪れました。教室内で学んだことを実際に体験することで、より理解が深まりますし、何より楽しいです。


授業の一環で行った国立歌劇場

テスト期間が選べる

期末試験は、先生が決めた3つの日程から選ぶことができます。同じ週にいくつも試験があるのは嫌なので、とても良いシステムだなと思いました。

休みが長い

大学は冬学期(9月〜2月)と夏学期(3月〜8月)の2学期制です。授業自体は、冬学期は12月、夏学期は5月中旬に終了し、その後テスト期間があります。早くテストを終わらせれば、最長で夏は3ヶ月半、冬は3ヶ月の長期休みがあります。休みの間はインターンシップをしたり、一時帰国やバカンスもゆっくり楽しめます。


休暇中に行ったフランス・ニースにて

卒業試験

チェコの大学は卒業するためには必要な単位数を満たすだけでなく、国による卒業試験に合格する必要があります。もちろん卒業論文も必要です。卒業試験は、学位審査と口頭試験が行われます。口頭試験では、経済学と観光学から一つのトピックがランダムで出題されます。事前に質問項目は確認できますが、トピックだけでも50近くあります(泣)
 

チェコで大変だったこと

気候

生活において苦労したのは冬の気候です。冬のプラハは雪はあまり降りませんが、氷点下にもなるほど冷え込み、日照時間も短くなります。道産子なので寒さには慣れていましたが、暗さには慣れることができず、プラハで初めて過ごした冬は一番辛かったです (コロナ禍で外に出られなかったというのもあります)。

手続き

手続き関連では、日本から正規留学すると必要となる「ノストリフィケーション(Nostrification)」の手続きが特に大変でした。ノストリフィケーションとはチェコの高等教育と日本で受けた教育の勉強時間が相応しいか認定する手続きです。ノストリフィケーションを申請すると、十分な時間数を勉強したかどうかが審査され、足りない場合は、必要な科目の試験を受ける必要があります。私はコンピューターサイエンスの試験を受けました。試験はチェコ語で行われますが、通訳者を連れて行くことができるので安心です。

申請には必要な書類の数が多く、アポスティーユ認証や翻訳などの必要な手続きもあり、大変でした。今後、正規留学生としてチェコに来られる方は、できれば渡航前に余裕を持って行ってくださいね!
 
ちなみに、6月には卒業試験があるので、論文と勉強に追われている今がチェコ生活で一番大変な時期かもしれません(笑)
 

チェコ留学を考えている方へのアドバイス

まず一つ目は準備を怠らないこと。手続き等の書類集めはしっかり必要事項を確認しましょう。ネットに載っている情報は古い場合があるので、必ず公式の情報を確認してください。特にビザは発行までに時間がかかるので、できるだけ早く申請しましょう。
 
二つ目は留学中の目標や目的を作ること。私の場合は留学に行くことを目標にしていたので、実際に来てみたら何をして良いかわからない状態が続いていました。留学中、そして留学後何をしたいのか明確にしておくべきです。
 
三つ目は受け身にならないこと。これはチェコに限った話ではないですが、自分から行動することが大切です。授業はもちろん、日常生活でも「おかしいな」「わからないな」と感じたら、積極的に助けを求めることが大切です。

また、自分自身にハードルを設けないことも大切で、自分の能力に限界を設けず、チャレンジしてみてください。私の場合、チェコ語が苦手なまま、カフェで1年間アルバイトをしました。言葉ができない代わりに、サービスなどの他のことで頑張ろうと心がけました。できないことに対してネガティブになるのではなく、自分の能力で何ができるかを考えて行動することが、楽しむためのポイントだと思います。

後編へ続きます。