こんにちは。チェコ親善アンバサダーの高橋柚季菜です。私は大学在学中、チェコ・ズリーンに半年間交換留学をしておりました。今回は、①チェコに留学するきっかけ、②留学期間中の出来事、③チェコ留学のメリット、④留学後のお話の4本立てでお送りいたします。
なぜチェコに留学しようと思ったのか?
ピルスナーフェスト2022
ユニークな経験をしたかった
皆さんは「留学したことがあります」と聞いたら、どこに行ったと想像しますか?私自身は「チェコに留学したことがあります」という方と日常生活でお会いしたことがありません。
きっかけは安直ですが「何かユニークな経験をしたい」と思い、留学先としてはなかなか聞いたことのないチェコを選択しました。
実は大学3年で就活をしていたとき、「行動力」「好奇心」「チャレンジ精神」をキーワードにしているわりに、大して何も得ないまま大学生活を終えるのではないか、と内心は不安でした。当時見ていたオーディション番組で、「いつだって、何歳だって挑戦できる」という言葉を聞いて、それに背中を押されてチェコ留学を決意しました。
第2外国語としての英会話を学びたかった
私は試験科目としての英語は得意でしたが、英会話が大の苦手で、英会話の授業で最初にカンペを用意するような学生でした。あるとき、高校時代の恩師がおっしゃったことを思い出しました。
「英会話ではわかりやすい表現が大事」
「これから関わる方たちのほとんどは、英語を第二外国語として使っている。ネイティブっぽく、より、わかりやすい簡単なフレーズを使いこなせるほうが大事」
英会話が苦手な私はその言葉をある意味理由にして、第二外国語として英語を使っている国に留学することを決意しました。
ちなみに、留学に行く飛行機で飲み物の種類を咄嗟に聞けませんでした。そんな私は、帰りの飛行機に乗る前、1時間英語で韓国人の友人と電話できるくらいには成長しました。
チェコ留学期間中
チェコの剣士たちとの稽古
ホームシック
とてもワクワクした気持ちで留学に行ったはずなのに、1週間経って日本が恋しくなり涙が止まらなくなってしまいました。私はホームシックにならないと思っていたので、それにもショックを受けました。食欲はあまりない、人と話すのも面倒くさい、やる気が起きない…そのせいで体調も崩して、少なくとも2週間は調子が悪かったです。ホームシックは突然来る、そして誰でも起こる可能性があると学びました。
ちなみに、ホームシックの時はスーパーマーケットで買い物をしていた時が一番リラックスできました。食欲はあまりないものの、美味しそうに並んでいる食材を見て、焼きたてのパンの香りを感じると心が軽くなりました。
ビール
最終的にホームシックを打破してくれたのはビールです。チェコ留学を志した時から、世界初の黄金のビール「ピルスナーウルケル」を現地で飲みたいと願っていました。また、チェコは国民一人当たりのビールの消費量が世界一位です。そんな環境で浴びるほどビールを飲んでみたいと好奇心がくすぐられました。(笑)
10月にピルスナーウルケル社開催の「ピルスナーフェスト」に参加しました。そのとき、いろんな国から来たビール好きの方とたくさんビールを飲んで、たくさん会話をして、「チェコに来て本当に楽しいな」と思えて、私のホームシックは終わりました。
ビールがとても美味しく、お手頃な価格で飲むことができるので、スーパーマーケットに行っては飲んだことのないビールをよく探していました。お土産にもビールやビールグラスは喜ばれました。しかし、飛行機に乗るときは重量と関税には注意してください…!
剣道クラブとの出会い
「留学中にサークルに入ると趣味で繋がる友人ができるよ!」と留学経験者の先輩に教えてもらい、何かおもしろいサークルはないかと大学のサイトで探していたら剣道を発見しました。すぐ教授に参加希望のメールをすると、大歓迎してくれました。剣道は実に6年ぶり。身体は意外と覚えていて、やってみると楽しかったです。何より日本から遠く離れたチェコで、剣道を楽しくやっている剣士たちの姿を見て感動しました。
先輩の言う通り、剣道を通して私は素敵な友人に囲まれた留学生活を送ることができました。また、剣道クラブの友人とは留学が終わっても近況報告をすることが多いです。
チェコ留学中に見つけたチェコ留学のメリット
治安が良い
留学をするにあたって気になる治安。少なくともズリーンでは危ない場面に出会ったことはないです。しかし、ズリーンは学園都市でかつ住宅街なので、夜になると歩いている人がとても少ないです。生活に慣れるまでは現地での知り合いや複数人で出歩くことをおすすめします。物価がそこまで高くない
物価に関しては、日本で生活するのとあまり変わらない印象です。日本に比べてチェコは野菜・果物は安い、肉・魚は高いなどの細かい違いはあっても、スーパーでお会計するときにはプラマイゼロになっているような感じです。ちなみにズリーンは日本スーパーだけでなくアジアンスーパーもないので、馴染みのある調味料がなかなか手に入りません。留学なら服を一枚辞めてでも日本の調味料は持っていくことをおすすめします(笑)現地で出会った友だちに振る舞ったり、故郷を懐かしんだり、いろんな場面で使えます。空気が綺麗
見落としがちですが住環境はとても大事です。木々が植えられていて、空気が澄んでいて、空が曇っていないことって、とてもストレスフリーなことだと気付きました。ホームシックで泣きそうな夜にたまたま上を見たら、星がプラネタリウムみたいに綺麗で「悪いことばかりじゃないな」と思ったこともあります。チェコ留学終了から1年半。得たものとは
トーマスバタ大学※大学の名前となっているTomáš Baťa(チェコ語読み:トマーシュ・バチャ)は、ズリーン出身の起業家。
はじめの一歩を踏み出すようになった
「怖くても進め」― 私のお気に入りの言葉です。怖がらずに、とはよく言いますが、最初は誰でもおそるおそる行動を始めます。
剣道クラブに参加したいとドキドキしながら英語でメールを送ったこと、電車が間違っていないか車掌さんに聞いたこと、慣れないチェコ語で料理を注文したこと。
怖くてやらないか、怖くてもやるか。その後の思考は歴然だと学びました。
留学後は大学で1年間留年をしていましたが、剣道部に入部したり、「ビール倶楽部」を立ち上げたり、学園祭で出店したり、新しいアルバイトを始めたり、地方で農業を経験したりと、やってみたいことはすぐに、全力で行動するようになりました。
もう一つの故郷ができた
埼玉県に生まれ育った私は、今まで埼玉県以外に住んだことがありませんでした。半年だけでも住んだチェコ・ズリーンは、とても思い入れのある街になりました。そんなズリーンの魅力についてお伝えします。- 空気がとても綺麗
学園都市で、周りには住宅街が広がっているため、夜になると街全体が真っ暗になります。
天気がいいと星空がとても綺麗に見えます。
満月の夜は明るく、新月の夜は暗いということを頭の中では知っていましたが、ズリーンに来て初めて実感しました。
高い建物は「動く社長室」のあるBaťův Mrakodrapだけです。ここの展望台からは街の様子を一望でき、初めてズリーンに訪れた日に現地で出会った友人と見た夕暮れはとても美しく、一生忘れられない景色です。
*「動く社長室」とは…
ズリーンの街を近代化したトマーシュ・バチャ Tomáš Baťaが使用していた部屋。忙しいバチャはエレベーターごと自分の仕事部屋にして、各階の部署の様子を見ていたそうです。
- ウィーンまで3時間、プラハまで4時間
一緒に剣道の稽古をしたズリーンの仲間や、今でもチェコで学び続けているルームメイトなど、また会いたいと思う方たちがチェコにいるから、「行きたい」より「帰りたい」という気持ちになります。
仲間が増えた
剣道を再開して、チェコの剣士たちと稽古を通して仲良くなり、さらには日本に帰ってからも剣道を通して大好きな友人がたくさんできました。剣道の楽しさを教えてくれたのは、紛れもなくズリーンで一緒に稽古をしていた仲間です。また一緒に稽古するのを楽しみに、現在は日本で剣道を一生懸命学んでいます。また、ビール好きの仲間ができました。今まではチェコで飲んだビールをただレビューするだけでしたが、同じビール好きの方と出会ってからは情報共有ができるようになりました。また、ビールを介して人と打ち解けることを教えてくれたのはホスポダ文化です。美味しいビールが、お手頃な価格で楽しめる環境は人との距離を自然に縮めてくれました。
チェコ留学に行ってよかったという気持ちは年々増しています。その理由は、留学直後は純粋に楽しかったからですが、1年半経った今では、あの日々が成長し続ける私の土台となっていると実感するからです。留学してからは今まで以上に何気ないことにおもしろさを感じたり、やりたいことへの感度が高くなったり、留学で得たものを帰国してから何倍にも膨らませることができたと思います。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもチェコ親善アンバサダーのリレーブログをお楽しみください!
筆者について
高橋柚季菜(たかはしゆきな)2001年埼玉県生まれの会社員。2022年埼玉大学に在学中、チェコ・ズリーンのトーマスバタ大学に交換留学。留学を機にビールや料理の美味しさ、文化や歴史などのチェコの魅力にハマりました。2024年からチェコ親善アンバサダー。現在は「来年こそチェコに行く」ことを目標に、貯金をしながら日々フルタイムで働いています。
Instagram:@daily.zlin