【リレーブログ2024②】チェコで唯一の高校生 LILI’s LIFE in CZECHIA
高校1年生の井口リリです。私は2023年8月から唯一の日本人高校生としてチェコに1年間の交換留学をしていました。このブログでは、私が留学先をチェコに決めた理由や、チェコでの高校生活についてご紹介します。
 

留学で初めて行ったチェコ    



私は留学先として、アメリカはどうしても銃が怖くて避けたかったのと、ハリーポッターが大好きで、幼い頃からヨーロッパに旅行に行くことが多かったのでヨーロッパを希望していました。しかし、まさかのチェコは、今まで行ったことのある国ではなかったので想像できず、周りにももちろんチェコ留学したことのある人はいませんし、ネット上にもチェコに留学した高校生の情報はほとんどなくて、実際に現地に到着するまで、全くの未知の国でした。
 

周辺国との違い

ドイツ、イタリア、フランス人はプライドが高いイメージなので、チェコ人は付き合いやすいと思います。一見、自己主張が強くなさそうな感じがしますがみんな自分の意見をしっかり持っている感じがしました。ベトナム人が多く住んでいるためか、特に日本人が特別扱いされることもなく過ごしやすかったです。独自通貨が残っていたり、チェコ語を大切にしているところも自己主張を感じたりします。
ほとんど自国民で形成されている国は多くの移民の課題を抱えるヨーロッパでは珍しい存在になっていると思います。チェコでできた知り合いや友達には日本語を習っている方が何人もいて、親日です。
 

チェコで見つけたチェコの世界一



世界中を回ったわけではないのでわかりませんが、個人的にチェコ人は自然との触れ合いの機会がとても多いと思います。こんなにも発展している国で日常生活の中で自然と触れ合う機会が多い国はあまりない気がするのでそこが世界一だと思います。毎週末自然の中で散歩をするためにどこか街へ出かけますし、放課後に山へ登りに行ったりもします。友達と遊ぶときはただ放課後に公園に散歩をしに行く時もあります。学校の行事でよく山登りがありますし、自然の中でキャンプすることもとても多いです。ホストシスター達や、学校の少し歳が下の子達は多くがスカウトキャンプに行っています。これが私の知り合いだけでなく、チェコ中にいる(世界中から来ている)留学生みんな口を揃えて『チェコ人は歩くのが大好きで、いつもホストファミリーと自然の中に散歩しに行く』というので、世界一と言ってもいいのではないでしょうか。



よく留学生の友達から、『前ホストファミリーがちょっと短い散歩に行かない?って言うからもちろん行こうと思って着いて行ったら10キロ歩いた』と言う話を聞きますし、実際に私もよくありました。自然との触れ合いが多いのはたくさん歩く文化から来ていると思います。私はチェコの観光地にたくさん行ったわけではありませんが、チェコ人の間でハイキングで有名な街や歩くのにいい自然がある場所にはたくさん行きました。

散歩の様子
散歩の様子
 

チェコでの高校生活



私は23-24年度に交換留学で約1年間チェコの高校(ギムナジウム)に通っていました。国際ロータリー青少年交換というプログラムに応募したことがきっかけです。このプログラムでは希望は出せるものの希望通りに行きたい国が選ばれるわけではありません。私は特に希望している国がありませんでしたが、英語圏でないヨーロッパの国に行きたいと考えていました。チェコに行くことになったと聞いた時はとても驚きましたがワクワクしていました。
 
チェコの教育は、
通常義務教育は小・中学校はで9年間義務教育で
その後大学に進学するギムナジウムに通うか、専門学校、専門訓練所に通います。
 
ギムナジウムにもレベルがあり、入学試験を経て入学します。私の母校となった学校は
Biskupské gymnázium J. N. Neumanna České Budějovice通称BIGY)という学校です。
チェコで知り合いにいたシュコダ自動車の役員のトーマスの息子もプラハ在住でしたが、なぜか私の学校を知っていました。
私はもともと日本では私立の中高一貫校に通っていたのですがBIGYも中学から一貫教育のコースがあるのと、小学校も併設していましたので、学校は様々な年齢の子が通っていました。
 
ギムナジウムの話に戻ります。ギムナジウムは、高校は3年もしくは4年間です。
3年もしくは4年という理由は、学校によっては成績が優秀な場合は、義務教育中の12歳からギムナジウムに入ることもでき、その場合は3年で高校を修了することもあります。
一般的なBIGY以外の外部の義務教育終了後に高校1年から入学した子達の高校生活は4年間です。私はその子たちと一緒に1年学びました。


 
余談ですが、České Budějovice(チェスケー・ブジェヨヴィツェ)のスクエアは正方形で、ヨーロッパでいちばん広いスクエアと言われており、その正方形はぴったり1ヘクタールです。
季節の飾りや、アートの展示などいつもいろいろなイベントがあり、その中でもクリスマスはとびっきり素敵です。



スクエアには巨大なクリスマスツリー、回転木馬、スケートリンクが現れ、まさに夢の国にいるようです。私の通っていた学校BIGYは、そのスクエア(どの街にも必ずある街の中心広場)の隣で、とてもいい場所にありました。


スクエアでのクリスマス

毎日スクエアを横切り、学校へ行きます。BIGYは教会学校で、学校にはチャペルがあります。月1回ほど歩いて3分くらいの教会でミサがあり、教会はステンドグラスとパイプオルガンがありとても素敵です。
学校の中も廊下がチェス板みたいになっていて、階段もクラシックなデザインで大好きでした。


学校の教会

BIGYは、コースが3つあり、
  1. 通常授業をスペイン語で行うコース
  2. 通常授業を英語で行うコース、
  3. 通常授業はチェコ語、第2言語は英語、第3言語はドイツ、フランス、スペインのどれか
となっていました。
こういったバイリンガル教育は、チェコではしばしばみられるようです。
 
私は当初、このスペイン語コースだからねと、入学前の挨拶時に言われていたのですが、
数日後、最初の登校日に学校に行くと、スペイン語コースは今日修学旅行みたいなお出かけに行っているから、誰もいない。なのでチェコ語のコースに行って。と言われたことに驚愕しました。
結構スペイン語コースを楽しみにしていたので、落胆していたのですが、今思えば、授業中全部スペイン語だったら今のレベルのチェコ語はできなかったので、むしろあの時スペイン語コースがお出かけ中でよかったです。
 
第2外国語は、フランス語で、2つ目のホストマザーはBIGYのフランス語の先生だったのですが、私はフランス語の授業中もずっとチェコ語の内職をしていたので、フランス語はほとんど習得できませんでした。(ホストマザーもチェコ語の勉強が最優先だといってくれましたし、そもそもチェコ語でフランス語を学ぶのはとても難しかったです。)
 
 

高校での1日のスケジュール

朝は早く、8時ちょうどに授業が始まります。私は大体7時50分に学校に到着していました。朝礼などのホームルームはなく、いきなり1時間目の授業が始まります。授業は一コマ40分で休憩が10分あります。
週3回は13時20分まで授業で、週2回は13時20分まで授業で、1時間休憩があり(この時間はカフェに行ってコーヒーを飲んだり学校で勉強したりお昼ご飯を食べに行ったりと様々です。)、また学校に戻り、16時くらいまで授業があります。

給食の様子
給食の様子

日本の高校では、私は始業の45分くらい前に学校につき、自習をしたり、庭で友達とバレーボールをしたりして早く行くことで授業以外の時間を楽しんでいましたが、チェコでは7時50分より前に教室にいる子は誰もいませんでした。    
そして、遅刻しても遅刻カードなどはありません。ですがみんな授業が始まる3分前くらいには席に着いています。外国人は時間にルーズなイメージがあると思いますが、チェコ人は日本人ほどではないとしても結構何分か前に次の予定の場所にいることが多いです。

まず学校へ行って、地下室にある自分のロッカーに行きます。
チェコの建物は、昔は地下室に薪を溜めていたそうで、今は薪を大量に必要とすることはあまりないですが、地下室は大抵どこの建物にもあります。地下は冬になるととっても暗くて寒かったです。
冬はロッカーで自分のスリッパに履き替えます。冬だけスリッパに履き替える理由は冬になると雪が靴につくので、外ぐつのままだと学校が泥だらけになってしまうからです。ですがこのシステムは学校によって違います。(夏もスリッパのところもあります)
 

 
アメリカの学校などは、人ごとに授業の組み方が違って、1コマごとにバラバラに授業をあちこちで受けるので友達ができにくいと聞いたことがあるのですが、チェコの学校は日本と同じくクラスがあり、そのクラスはずっと同じメンバーで同じ授業のスタイルです。
クラスは30名で同じメンバーなので、すぐに友達ができました。クラス替えはなく、4年間(13歳から通っている子たちは8年間)同じメンバーで過ごすそうです。
特に、私はいつも隣の席に座る英語が得意な女の子と仲良くしていて、その子のおかげで英語の能力が向上したと思います。

おやつをくれる学校の先生
おやつをくれる学校の先生
 

実際の授業はどんな感じ??



授業の教科は日本とそれほど変わりませんでしたが、全ての教科でディスカッションや発表が多いです。そして生徒が先生に質問することが多いです。自分が疑問に思ったことはたとえ他の人が当たり前だと思っていることでもすぐに質問をします。
また理科は、物理も化学も生物も講義と実験が50%ずつです。
白衣を着て本格的に実験をします。私にとってこの実験がとても楽しい時間でした。


 
テストは小テストがよくあります。
学校に通い始めた頃は、チェコ語が通じないこともあり私だけ小テストが免除されていたのですが、日本の数学のテキストで自習をしているのを数学の先生が見て、おや?できるのでは?と思ったようで、ある日からテスト用紙を配ってくれるようになりました。みんなと同じテストが受けられて、しかも毎回クラスで1番だったのですごく嬉しかったです。
しばらくして、英語や、理科もみんなと同じレベルでテストを受けられるようになりました。
しかし、社会やチェコ語(日本でいう国語)はやはり1年でついていくのは厳しく、チェコ語の内職に勤しんでいました。
 
日本でいう移動教室のような宿泊を伴うおでかけや小さい修学旅行みたいなプログラムがたくさんあります。基本的にクラス単位なので、いつものメンバーであちこちおでかけします。私は1年のうちにキャンプ、オーストリアのリンツ、チェコ中にハイキングキャンプなどたくさんクラスで出かけました。


学校の移動教室
 

授業後の過ごし方

BIGYには運動部はなく、学校の子達は授業後クラブチームなどでスポーツをやっているようでした。同じクラスの子達はアルバイトをしている子も多くいました。
 
私の授業後は、週2回チェコ語のレッスンと、それ以外の日はバレーボールのお稽古に行ったり、ヨガに行ったりしました。また、日本語を習いたい!というホストマザーのお友達に週1回、日本語レッスンの先生もしていました。

日本語教室でゲーム
 
チェコ留学中にやりたかったことの1つに、日本の文化を伝えたいということがありました。そのことをホストファミリーたちはサポートしてくれて、小学校や幼稚園などに、何度も日本の紹介ができる機会を作ってもらい、プレゼンや、日本語のワークショップをしに行ったりもしました。その活動は地元の新聞に掲載されたりもしました。


 
驚くことに日本語はとても人気で、クラスに数人日本語を習っている子もいました。また、プラハ在住のチェコ人の日本語教室の先生が、私の存在を知り、お家にお招きいただき数日間自宅に泊まって日本語教室の生徒や、日本語を学ぶ子どもたちと過ごすこともありました。


 

「チェコ語」について

いきなり現地校で全部チェコ語の授業なので、大変でしたが、8ヶ月くらいに日常会話には困らなくなりました。ただ、学校の友達とはほとんど英語で会話ができましたので、英語半分チェコ語半分のような暮らしをしていました。
 
チェコ語はかなりハードに勉強し、9ヶ月目にプラハで外国人用のチェコ語の検定を受けてA1試験に合格しました。最初A2から受験しようかと思っていたのですが、A1でも思ったより難しく、特に筆記が難しかったです。先日、チェコ語検定を持っている日本の高校生がいるかをチェコセンターに質問してみたら、 2017年から記録しているが受験者はいるか不明とのことなので、もしかしたら私が高校生唯一のチェコ語検定ホルダーかもしれません。
 
チェコ語は日本帰国後も引き続き、勉強を続けており、チェコ語についても詳しくまたお話ししてみたいです。
 
私はただチェコ国内ただ1人の日本人留学生でしたが、日本の高校生の留学先としてチェコはものすごくおすすめです。
その理由としては、BIGYのように色々なコースがあることと、先生たちは優秀で教育レベルも低くありません。日本語が人気なだけあり、日本人というだけでCOOL!とリスペクトしてくれます。
生徒や街にいる人はは当たり前ですがほとんどチェコ人です。
また、英語プラス現地語という機会があるので、すごく世界観が広がります。
そして驚くくらい治安が良く、鍵をかけていないお家もあり、夜中でも一人で散歩できますし、一人であちこち自由にいくことができます。私も最後の1、2ヶ月は1人で国内は旅をしたりプラハにも1週間に何回もお出かけお買い物に行ったりしていました。
どこにいくにも、大人の帯同やドライバーを頼むことなく日本と同じように行動できます。
 
私のコラムでチェコへの高校生の留学生が増えてくれるといいなと思っています。
 

おまけ - チェコで欠かせないお土産の品は??

  1. チェコ老舗のorionというメーカーが出しているminiサイズのチョコバーがおすすめです。甘さもちょうどいいですが、miniサイズの大きさがとてもよく、さらに個包装されているのでばらまきにぴったりです。他にもorionが出しているお菓子はたくさんあるので自分の好きなサイズや味などを見つけてみて欲しいです。スーパーのチョコレートコーナーによく売っています。https://www.orioncokolada.cz/
 
  1. opaviaというメーカーが出しているウエハースのお菓子がおすすめです。Kolonádaやfidorkaなどがあります。どれもチェコ人が日常的に食べているものでこれらもスーパーで買うことができます。甘すぎず、箱も可愛いのでお土産にぴったりです。https://oplatky-kolonada.cz/
 
  1. manufakturaのビールシャンプーがおすすめです。97パーセント天然成分でできており、フェルディナンドビールから作られています。やっぱりチェコで有名なビール関連のお土産は人気があります。Manufakturaはビールシャンプーだけでなくオーガニック製品で有名なので、私の高校の友達もよく使っていたし、友達同士の誕生日プレゼントとしてもよく買われていました。https://manufakturashop.com/beer-cosmetics/
 
  1. クルテクグッズ チェコ発祥のキャラクターでモグラのクルテクグッズがプラハのお土産屋さんにたくさん置かれています。個人的にはプラハのお土産屋さんで買うのもいいですが、店によって安いところや高いところがあったり、置いてあるものが違ったりするので、おすすめは空港のお店で買うことです。プラハ空港の中のお店では免税も出ますし、何より種類が多いです。しっかりとした公式のものが売られているので私のようなそこらへんのお店では少し不安な方にはいいと思います。

大好きなクルテクベッドカバー
 

筆者について

井口リリ

私は2023年8月から唯一の日本人高校生としてチェコに1年間の交換留学をしていました。日本では中高一貫校で、バレーボール部です。好きな教科は数学と物理と英語です。好きな食べ物はお寿司で、好きな漫画はアオアシです。
チェコのおすすめのご飯はスヴィチコバーです。野菜と牛肉をニンニクや生クリームなどで煮込んだ料理で、給食でもよく登場します。